一口に「AI(人工知能)」といっても、その中身は様々だ。さらに、ビジネスの課題をすべて解決してくれる全能のものと考えられがちだ。

「『AIは何でもできる』と誤解して、ビジネスに導入すること自体が目的化しているケースがまだまだ多い。技術的な面白さが優先されてしまっている」と、企業のAI活用を支援するブレインパッドの関口朋宏・ビジネス統括本部長は指摘する。

『週刊東洋経済』5月11日発売号は「AIを使いこなす人材になる」を特集。新型コロナウイルスの感染が拡大し、ビジネスパーソンの働き方の大きな転換が求められている。理系・文系を問わず使いこなせる人材になるための知識やノウハウを盛り込んだ。

AIで解決したい本当の課題は何か

開発に当たって最初にやるべきは、「企画する」、つまり「AIを使って何をするのか」を決めることだ。売り上げ増加や効率化などにつながらなければ意味がない。自社のビジネスの根本的な課題を見極めることができなければ、つまずいてしまう。

AIはあくまでも課題を解決するための道具の1つにすぎない。大量のデータの解析やある程度パターン化された作業に長けており、最適な生産量や発注量を精緻に予測する、工場での不良品を画像で検知するといったことはお手のもの。

「AIの得意・不得意を理解し、どんな投資をするべきか判断できる目利き役を社内に置くべきだ。解決すべき課題がその企業の死活問題になるテーマであれば、投資対効果が高まりやすい」と関口氏は説く。

AIに対する金銭的・人的投資は長期間にわたると考えたほうがよい。一度開発したら勝手に精度が上がっていくわけではなく、運用中に得た新しいデータの活用など精度の改善に向けた作業が欠かせないからだ。

「長期投資になるということは、それなりの覚悟が必要。社長など経営陣レベルの意思決定がないと進まない」(関口氏)。裏を返せば、経営陣にデジタル技術への理解があると、取り組みも迅速に進むといえる。