2020年4月、総合車両製作所( J-TREC)横浜事業所で製造されていた横須賀・総武快速線用新型車両E235系1000番代の2階建てグリーン車が出場し、普通車を製造しているJ-TREC新津事業所へ輸送された。E235系1000番代は2020年秋から順次横須賀・総武快速線に投入され、E217系を置き換えることになっている。

E217系は横須賀・総武快速線用近郊型電車として1994〜1999年にかけて745両が製造された。209系に始まるJR東日本型電車の第1世代に属するが、一時期東海道本線に転属した編成以外は一貫して横須賀・総武快速線系統で使用され続けた。

一見地味に感じるE217系だが、実はJR東日本の電車としては技術的ターニングポイント車両でもある。また、意外なエピソードもある車両だ。ここではその一部を紹介したい。

近郊型電車初の4扉車体を採用

E217系登場以前の近郊型電車は大都市圏で3扉車体、地方都市圏で2扉車体を採用していた。また、座席配置は1980年代前半までは長距離利用を考慮したセミクロスシートが基本となっていた。

しかし、首都圏の通勤輸送を担う東海道本線、東北本線、高崎線、常磐線の混雑率が高く、セミクロスシートがラッシュ時の障害となっていたため、211系、415系ではロングシート車が加わり、以降近郊型電車のロングシート車の比率が高まった。

横須賀・総武快速線も混雑率は高かったが、国鉄時代はロングシート車の新規投入を行わなかった。そしてJR東日本発足後の1989〜1992年にかけて、113系の一部をロングシートに改造して混雑の緩和を図った。同様の改造は東海道本線用113系の一部にも実施された。

E217系もロングシート車を主体として、セミクロスシートは基本編成に3両を連結するのみとなった。さらに近郊型電車で初めて4扉車体を採用して、ラッシュ時の乗降時間短縮を図った。