交通死亡事故全体に占める高齢運転者(75歳以上)が、第一当事者となる交通死亡事故の割合が増えている。件数はこの10年間、400件台と横ばいで推移しているが、全体の事故件数が減り続けているため、割合として増えているのだ。

2019年4月、東京・東池袋で当時87歳の高齢男性が運転する乗用車が赤信号を無視するなどして暴走し、母子を含む10人に次々に衝突して死傷させた。男性は事故直後に「アクセルペダルが戻らなくなった」と証言したが、警視庁はクルマに不具合はなく、男性のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いが原因として、男性を過失運転致死傷罪で書類送検した。

内閣府の「平成29年交通安全白書」によれば、高齢運転者がペダル踏み間違い事故を起こす確率は、75歳未満の運転者の約8倍に上る。

ドライバーのペダル踏み間違い事故対策として、自動車メーカー各社は車両前後に障害物がある場合、ドライバーがアクセルペダルを踏んでも加速を抑制したりブレーキ制御したりして衝突回避を支援する機能を開発・実装してきた。国もペダル踏み間違い加速抑制システムなどが備わったクルマを「サポカーS(セーフティ・サポートカーS)」に認定し、普及を後押ししている。

すでに約7割低減しているが……

トヨタが2012年に製品化した「ICS(インテリジェントクリアランスソナー)」の装着率は、2019年時点で約85%に達している。また、2018年には「踏み間違い加速抑制システム」を製品化した。

これは同社の12車種に後付けできる装置で、車両前後に障害物を検知した状態でドライバーがアクセルペダルを踏んでも、加速が抑制される。ただし、後付けなのでブレーキ制御までは備わらない。

「後付けの踏み間違い加速抑制システム」は既存の12車種に対応する(写真:トヨタ自動車)

同社の調べでは、ICS装着によってペダル踏み間違いによる事故を約7割低減する効果があったという。ただし、ICSや踏み間違い加速抑制システムが作動するのは、車両前後に障害物がある場合に限られる。正確には、センサーが車両前後の障害物を検知した場合。障害物がない状態での踏み間違い事故を回避することはできない。

そこでトヨタは、7月1日に新たなペダル踏み間違い事故対策として「プラスサポート用スマートキー(略称:サポキー)」を開発・発売した。現行型「プリウス」のディーラーオプションとして設定される。価格は税込み1万3200円だ。