コロナショックの影響を大きく受けた産業の1つである、観光業界。移動自粛や渡航制限のあおりを受け、観光地からはにぎわいが消えた。近年の訪日外国人観光客(インバウンド)拡大は地域を活性化させ、幅広い産業に経済効果をもたらしていただけに、その喪失は痛手だ。

一方、観光業界では、新たなニーズを掘り起こす動きが、すでに始まっている。NHK大阪拠点放送局が制作する「ルソンの壺」では、7月5日の最新放送回(関西地域で7時45分〜8時25分)で、関西企業をリモートで取材し、withコロナ時代を想定した対応や対策について取り上げた。

登場したのはチェルカトラベル、ウエダ本社、ハムス(いずれも本社は京都府京都市)、ミツフジ(京都府精華町)、大阪バス(大阪府東大阪市)、枚方信用金庫(大阪府枚方市)、ナカニ(大阪府堺市)の7社。このうち経済ジャーナリストの三神万里子氏と司会の狩野史長アナウンサーが、京都を拠点として女性客をターゲットにする旅行会社、チェルカトラベルの井上ゆき子社長に聞いたインタビューを、番組本編に収まりきらなかった部分も含めてお届けする。

国内の団体旅行が減るのは確実

三神万里子(以下、三神):県境を越える移動が解禁になり、観光需要も少しずつ回復していますが、井上社長は今後をどうご覧になっていますか。

井上ゆき子(以下、井上):国内のお客様のグループツアー(団体旅行)が減るのは確実です。バスツアーの場合、感染リスク対策の観点からも40人乗りのバスだと半分の20人にしないと催行するのが難しい。当社ではバスツアーがいちばん売り上げに貢献していましたが、これが大きく望めなくなります。

旅行業界全体でも、今後は個人旅行の手配のほうが中心になるでしょう。もともと旅行会社は、旅行の知識をお客様に提供するというのがサービスの内容だったので、ここに戻っていきそうです。

狩野史長(以下、狩野):原点回帰ですね。

三神:国内旅行は中国からの団体旅行客が増える前から、“大箱で団体客”というトレンドから、個のカップル単位や家族単位の“カスタム型”の旅行という流れがありました。

オープンエアで密を避ける取り組みも(写真:NHK大阪放送局)

そのために企画自体も、出発地点で企画する発地型から、着地地点で企画する着地型になっていたのですが、それが仕切り直しになったという印象を受けています。もう1回戻るのか、それとも、バージョンアップした形でこれから展開していくのか、どちらでしょう?

井上:戻るという予想はしていません。バスツアーや団体ツアーは、お客様の年齢層が非常に高く、推定で、参加者の年齢層が50歳以上、最年少でも50歳ぐらいの人たちというイメージです。いずれにしても団体ツアーに関しては、ここ10年ぐらいでビジネスとしての寿命を迎えていたのではないでしょうか。