その昔、外国為替の世界には「ジブリの呪い」というアノマリー(理論などからは合理的な説明ができない現象)があった。日本テレビ系の「金曜ロードショー」でジブリのアニメ映画が放送されると、その直後に円高が急に進んだり、株安になったりするというものだ。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、大真面目で日テレに問い合わせした、なんてこともあったと聞く。

この都市伝説の正体は今日では広く知られていて、金曜日の夜と言えばアメリカの雇用統計が公表されるタイミング。毎月第1金曜日の午後9時半に、「先月の非農業部門雇用者(NFP=Nonfarm Payroll)は××万人増!」といった報が入ると、それを材料にしてマーケットはしばしば大きく変動する。この時間帯はたまたま「金曜ロードショー」をやっていて、日テレはよくジブリ作品を放送する、というのが種明かしである。

4月以降の米雇用統計はぶっ飛びまくり

アメリカ経済は個人消費が約8割を占める。だから雇用のデータが重視されることになっている。さらにアメリカは、日本と違って人口が増加している国だ。だから雇用者数が毎月増えていかないと、失業率が悪化してしまう。ゆえに「前月に比して雇用者がどの程度増えたか?」が重視される。ちなみに農業部門の数値を取り除くのは、収穫期の短期外国人労働者などのブレをなくすためである。

アフターコロナのアメリカ経済においても、雇用統計はお騒がせの指標である。4月のそれは、「NFPがいきなり2000万人減!」という結果に皆がぶっ飛んだ。普段は数十万人の単位で増減しているので、グラフを描くとそこだけいびつな形になってしまう。さらに5月の雇用統計は、「またまた大幅減かと思ったら、今度はNFPが250万人の増加!」となって株価が急上昇した。

こうなるとマーケットは戦々恐々となる。6月の雇用統計は7月2日、木曜夜の発表となった。それというのも7月4日(土)が独立記念日なので、その前の金曜日が振り替え休日になったからだ。注目の7月2日午後9時半、NFPはまたまた480万人の増加と出た。2カ月連続のポジティブサプライズである。