1776年の7月4日、北アメリカ大陸の東側に位置した13の植民地の州は、本国に対し、独立を宣言した。その日から244回目となる今年の7月4日。最新の調査では、なんとアメリカ人の大人の25%が、その13州が誰から独立したのかを知らないという。

7月4日は「依存記念日」か「救済記念日」になった

もし自分がアメリカ人なら、「オバマ前政権は大変なことをしてくれた」と嘆くところだ。同政権の8年間はちょうどアメリカで育った筆者の子供たちが、中学から高校の時期と重なった。

周りのアメリカ人の父親と比べ、子供の教育に熱心だったわけではないが、当時オバマ政権が数学などの理系重視へ舵を切り、彼らが通う公立学校では、歴史の時間を減らす指針を出したことは、一抹の不安として頭の片隅に残っていた(ちなみにその公立校とは、ヒラリー・クリントン氏が通った学校である)。

不安は的中した。今年の7月4日は、白人警官によって殺されたジョージ・フロイド氏の顔は街のいたるところに描かれ、一方最も有名な建国の父、ジョージ・ワシントンの銅像が無惨な姿になったことは、日本でも報道されたとおりだ。

このように、コロナ禍に追い打ち掛けるように、人種差別への反動の嵐に見舞われているアメリカでは、トマス・ジェファーソンの独立宣言の最も重要な一文 「Pursuit of happiness」(幸福の追求)も形骸化している。

建国の父たちの、独立の最大の目的は、Liberty(勝ち取った自由)とFreedom(元来からの自由)だ。そこでは幸福は誰かに与えられるのではなく、自分の力で目的を達成する自由があること。それ自身が幸福であり、アメリカは、誰にも邪魔されず、その環境を提供する国として独立しなければならない。それが独立宣言の骨子だった。だが、どうだろう。今のアメリカ人の多くはフリーダム(Freedom)など求めてはいない。多くはフリー・スタッフ(無償の施し)を求めて行列をつくっている。

この現実にトランプ政権も呼応。ナンシー・ペロシ下院議長が2兆円規模の新規の経済対策を準備したなら、選挙戦の巻き返しを狙うトランプ政権は、秋までにそれを上回る救済策を準備しているという。

こうなると、今年の7月4日は、独立記念日というより、「依存記念日」か「救済記念日」とするのが相応しい。その象徴が、本来は資本主義の牙城でなければならないはずの株式市場。そこでは株債券もすべての商品をFED(アメリカの中央銀行)がサポートし、参加者はそれを前提にして自分達のポジションを持っているだけだ。