その後、東京都は過去データを修正し、5月7日まで遡って保険適用分を集計範囲に含めた(正確には、さらに7月に入ってからPCR検査だけでなく抗原検査も「検査人数」に含めるようになった。ただし抗原検査は絶対数が少ないため、検査人数の全体的な傾向にはあまり影響しない)。データ修正後の検査人数を見ると、5月から7月にかけて徐々に増加傾向が見られるものの、ここ最近の陽性者数増加がすべて説明できるほどの違いではない。

実際、陽性判明数を検査人数で割って算出される陽性率は、陽性者数の増加に伴って上昇傾向にある。もし陽性者数の増加が検査人数の増加によるものなら、陽性率は変わらないはずだ。

なお東洋経済オンラインのデータダッシュボード「新型コロナウイルス 国内感染の状況」でも、東京都の基準変更に応じて、グラフ下部の注記に急増の理由を追加し、棒グラフの色も変えて継続性がないことを示しているが、注記を消してあたかも検査人数が急増したかのように見せるスクリーンショットが一部で拡散されている。SNS上でグラフの画像が共有されることは少なくないが、必ず出典のウェブサイトや文献を確認し、注釈やデータの更新がないか確認するようにしたい。

「重症・死亡が増えていないから大したことない」?

次に、「重症者や死亡者は増えておらず、新型コロナにかかっても大したことがない」という説を検証する。

まず事実を整理すると、たしかに「第2波」と呼ばれる6月下旬以降、重症者や死亡者が顕著に増えている傾向は見出せない。これは全国およびいずれの都道府県でも同様だ。

ちなみに、6月19日にはデータ上で17名の死亡者がカウントされているが、ここには埼玉県においてPCR検査陽性者だが新型コロナ以外の疾病により死亡した患者13名が一括計上された分が含まれる。したがって実質的には同日の死亡者は4名となり、1日の死亡者が10名を超えたのは5月29日が最後だ。少なくとも足元の重症者数や死亡者数が再び増加傾向に入っているとは考えられない。