新型コロナウイルスの影響で、かつてない客数の減少に見舞われた外食業界。

低価格ファミレスチェーンのサイゼリヤも、4月の全店売上高が前年同月比で33%まで落ちこむなど、文字通り未曾有の苦境に立たされた。客数や売り上げは徐々に持ち直してきているが、コロナ以前の水準を回復するには長い時間がかかりそうだ。

コロナ対応策の1つとして同社が打ち出したのが、これまで頑なに299円(税込み、以下同)を維持してきた看板商品「ミラノ風ドリア」を7月から300円へ1円値上げしたこと。全商品を50円単位の価格に設定したのだ。

「1円値上げ」から約1カ月が経ち、どのような影響が出ているのか。堀埜一成社長を直撃した。

8割の売り上げで利益が出る体質に

――3〜5月期の営業利益は60億円の赤字でした。見たこともないような数字でしたが、底は脱したのでしょうか。

いや、脱していない。飲食業のコスト構造は厳しくて、コロナ前の売り上げの80%後半が損益分岐点。そこまで持ち直して、やっと損益トントンだ。

当社は東京、千葉、埼玉、神奈川で550店展開し、全店の過半数が1都3県に集中している。東京だけで約220店あり、東京が回復しないと話にならない。利益を戻すのはそう簡単な話ではない。

――実際に店舗を訪れると、客足はだいぶ回復してきたようにも見えますが、6月の売上高は前年比66%と厳しい状況でした。

1つは営業時間。従業員の安全を第一に考えて、今はすべての店舗で22時までに閉店している。営業時間を以前の86%に短縮しているので、同じような来客数でも売り上げは86%になる。

もう1つは席数の間引きだ。緊急事態宣言中はテーブルを1つおきに使って、稼働する席数を半分くらいに抑えていた。徐々に戻しているが、現在でも81%の席しか稼働していない。8割台まで来たが、3密が発生してはいけないので、これ以上慌てて戻すことはできない。