4〜5月頃の緊急事態宣言下では、食材の通販事業も伸びる反面、ユーザーの急増に対応しきれなくなるサービスもあった。そこで注目が高まってきたのが、生産者が出店し、消費者と情報をやりとりできるプラットフォーム型の仕組みだ。サービス事業者の負担が軽いため、出店者やユーザーの増大に柔軟に対応できるという利点があった。

その一歩進んだ形として今回紹介するのが、「クックパッドマート」。料理レシピ投稿サイトとして知られ、投稿数335万品、月間利用者数約5800万人のクックパッドが2018年9月に始めたサービスだ。

消費者がアプリケーションを通じて直接、登録生産者の食材を注文できるサービスだが、大きな特徴は、独自の生鮮宅配ボックス「マートステーション」を活用し、共同配送の仕組みを構築したこと。これにより、1品から送料無料で注文でき、時間や場所の指定も可能になった。

いわば、マンションなどの受け取りボックスの生鮮食品版で、注文した人だけが受け取ることができる。例えばコンビニやコインランドリー、商業施設、駅構内といった拠点に設置し、近隣の人に利用してもらう仕組みだ。

1品の注文でも送料がかからない

サービスとしてはこれまでの生鮮食品の通販と同様だが、1品の注文でも送料がかからないことや、専用のボックスに宅配されるため、玄関に発泡スチロール箱が積まれたままになっている、といったわずらわしさがないことが、消費者側から見た違いだろうか。

緊急事態宣言下の4月には、サービスエリア内の100戸以上のマンションへの無償での設置も開始した。もっとも、現在のところ、マートステーションの設置費用はマンション以外でも、すべてクックパッドの負担によって行われている。

商品購入情報が登録されているQRコードをかざし、ロックを解除。アプリで注文しておいた生鮮食品を、自分の都合のいい時間に受け取ることができる(筆者撮影)

現時点で東京23区と神奈川県を中心に約140箇所設置されており、今後、千葉、埼玉へと拡大の予定だ。

6月23日には、コンビニのローソンが都内3店舗での導入を発表。導入の意図について次のように語った。

「新型コロナでお客様の生活様式が変わっており、コンビニも対応を迫られている。マートステーションはスーパーの混雑を避けたり、時短のために役立つ。コンビニはもともとデイリー商品に強みがあるが、今後は、クックパッドと連携をして、併せ買いの商品提案も検討したい。協業による価値アップを目指している」(ローソン新規事業担当の吉田泰治氏)