7月31日、中国財政省は新興カフェチェーンの瑞幸咖啡(ラッキン・コーヒー)の不正会計事件に関する調査結果を初めて公表した。同省によれば、ラッキンの会計情報の査察は基本的に完了し、次のステップでは同社の中国国内の事業主体に対する行政処罰手続きを進める。

調査に当たったのは財政省の監督評価局。5月6日からラッキンの国内の主要事業主体2社に対する会社設立以来の会計情報の査察に着手し、その後、調査対象を関連企業や金融機関など23社に広げた。

その結果、2019年4月から同年12月末までにかけて、ラッキンが架空の商品券の取引により売上高を21億1900万元(約318億円)水増ししていたことが明らかになった(訳注:ラッキンは専用アプリでコーヒー5杯分のチケットを購入すると、さらに5杯分のチケットが無料でもらえるなどのキャンペーンを盛んに展開していた)。

水増しされた売り上げは、同社が投資家に開示していた同じ期間の総売上高51億5000万元(約773億円)の4割強に相当する。さらにラッキンは架空経費を12億1100万元(約182億円)上乗せし、純利益を実際より9億800万元(約136億円)多く見せかけていた。

創業者が影響力保持画策も、刑事訴追が濃厚

ラッキンは登記上の本社を英領ケイマン諸島に置き、アメリカのナスダックに上場していた。本来は中国当局の監督対象ではないが、2020年3月1日に施行された「改正証券法」には、同社のように事業主体がすべて中国国内にある企業については中国当局が管轄権を有するとの規定が加えられた。ラッキンは財政省のほか、国家市場監督管理総局からも不正競争行為の疑いで調査を受けている。

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すでに同社はナスダックの上場を廃止されたが、社内では経営権をめぐる争いが今も続く。創業者で前董事長(会長に相当)の陸正耀氏は、支配株主の立場を利用して臨時株主総会を提起。7月5日に開催された臨時総会では自身が会長職を退くと同時に、対立していた3人の取締役を退任に追い込んだ。不祥事の責任を取ったと見せつつ、ラッキンへの影響力を保持するための策略とみられている。

しかし当局に近い関係者によれば、関係当局は陸氏が粉飾を指示した電子メールなど不正の証拠を多数押さえているという。今後、陸氏は当局により訴追され、刑事責任を問われる可能性が濃厚だ。

(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は7月31日

著者:財新 Biz&Tech