新型コロナウイルスの脅威が続く中、働きに出る親たちを全力で支え続ける保育士たち。再び感染者が急増する中、感染リスクと戦いながらも日々、子どもたちを預かる保育士のありがたみを感じる親も少なくないだろう。

その保育士たちが緊急事態宣言の際、全国の保育園で、不当に給与カットされるという問題が起きたことは、これまで複数回にわたって報じてきた。現場の保育士からは多数の反響があり、これまで待遇が悪くても泣き寝入りしがちだった保育士たちの意識が、少しずつだが変わりつつあるとも感じる。中には実際に行動し始めた保育士もいる。

横行する不当な給与カット

都内の認可保育園でパート勤務する保育士の吉田涼子さん(仮名、30代)はその1人。

「正当な権利を主張できないのはおかしい。理不尽なことには声をあげたい」

と、職場のパート保育士3人と一緒に立ち上がった。

緊急事態宣言の際、正職員の保育士は交代で勤務し、休んでも満額休業補償されたようだったが、涼子さんらパートの保育士は園から一方的に「4月19日から休んでください」と告げられた。その際、4月19日から5月6日までのパート保育士の休業補償は6割とされた。

コロナ禍、国は認可保育園などに対して運営費を通常どおり支給する特例措置を行った。その意図は、「休業した保育士にも通常どおりの給与が支払われるようにするため」だった。

しかし、涼子さんが給与の4割カットとされたように、不当な給与カットが横行した。この問題の第1報となった「コロナで保育士の『給与4割カット』は大問題だ」(4月21日)を読んだ涼子さんは、休業補償が満額支給されるべきものだと知り、立ち上がった。

まずは園長に、満額補償されるべきではないかと尋ねた。園長は「コロナの影響で収入が減る」の一点張りで、給与カットについての明確な説明はなかった。納得いかない涼子さんは、自治体の保育課に相談して、自治体から園に注意を促してもらおうとした。

しかし自治体はといえば、園側からの「法人の努力の部分で配置基準以上に保育士を雇っているため、そこまで払えない」という言い分を鵜呑みにし、「園の努力でパートを雇っているため、休業補償を満額できなくてもやむをえない」と言って、真摯に向き合おうとしてくれない。さらには、保育園はコロナ予防対策のために空気清浄機を購入していたのだが、補助金が出るにもかかわらず「自腹を切って苦しい」と自治体に説明する始末だった。

「”経営が苦しい”はずなのに、空気清浄機を新調はできても、私たちの休業補償はしてくれない。人より物が大事なのか……」