トランプ大統領は9月20日からのアメリカにおける中国製動画アプリTikTokの「全面禁止」を決定。親会社のバイトダンスは米マイクロソフトへの事業売却交渉に活路を見いだすが、ことはそれで済みそうもない。トランプの真意は中国テック企業のグローバル化を潰すこと自体にあるからだ。中国の調査報道メディア「財新」が米中両国で交渉の内幕を徹底取材。

「われわれはTikTokをアメリカで禁止しようとしている」。

もしトランプ大統領がその言葉通りにできるなら、彼は張一鳴(チャン・イーミン)にいかなる交渉の余地も与えないだろう。動画アプリのTikTokはアメリカから追い出されるか、もしくはそのすべてが張一鳴の不倶戴天の敵であるFacebookのマーク・ザッカーバーグに売り渡されるかだ。

TikTokの親会社バイトダンス(北京字節跳動科技)の創業者である張一鳴は、この二者択一の窮地を受け入れず、第三の活路を見つけ出した。

マイクロソフトへの事業譲渡に活路

マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツの仲介のもと、バイトダンスはマイクロソフトと、TikTokの北米チームが運営するアメリカ、カナダ、オーストラリアとニュージーランドの4カ国での事業のすべて、もしくは一部をマイクロソフトに売却する交渉を行った。

バイトダンスは中国で海外への展開に最も成功したインターネット企業であり、グローバルなプライベート・エクイティ市場で最も評価額の高い企業だ。TikTokは海外におけるその核心を成すアプリで、世界中の154の国と地域に普及しており、月間アクティブユーザーは8億人を超える。もしTikTokを失えば、バイトダンスの海外展開は不可能となり、その評価額は大幅に縮小するだろう。

本記事は「財新」の提供記事です

張一鳴は立て続けに2通の「社員への手紙」を綴った。まずTikTokが直面している「強制排除」のリスクと、現在、潜在的な投資家と接触してTikTok資産の売却について交渉していることを認め、それから「トランプ大統領の真の目的はTikTokを禁止することだ」とはっきりと指摘している。張一鳴はTikTokを自ら手放す気は無いという決意を強調し、米国におけるTikTok事業を売却しなければならないとする対米外国投資委員会(CFIUS)による決定にも反対を表明した。