VRやARなどの最新技術を医療に積極的に取り入れた中国。その様子とは?(写真:Emmanuel Wong/寄稿者)

もはや世界を代表する「IT先進国」と言ってもおかしくない中国。VRやAR、ドローンなどの最新技術を医療現場に投入する中国の様子を、同国のIT事情に精通する山谷剛史による新書『中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本』より一部抜粋・再構成してお届けする。

VR(バーチャルリアリティー、仮想現実)は、専用のゴーグルを額に着用し、ゲームや映画などのビデオなどに利用されます。単体で利用できるものや、スマートフォンをはめて使うものがあります。

またAR(オーグメンテッド・リアリティー、拡張現実)は、スマートフォンなどを活用し、実在する風景にバーチャル画像を重ねて表示します。ARを採用したものではポケモンGOが有名です。このVRやARが、病院をはじめとした最前線の現場でも活用されました。

「VRによる遠隔診療」で二次感染を防ぐ

浙江省杭州市の大学病院「浙江大学第二医院救急センター」の新型肺炎感染病エリアで、5GネットワークとVRを活用したリモートシステムが登場しました。チャイナモバイルとVR企業の熾橙数字と組んだ「5G+VRリモート診療観測システム」というものです。病室の患者をVR空間で遠隔診療することで、二次感染を防ぎつつ、病室内の多くの情報を得ることができることを実現しました。患者と面会したい家族や親族は、VRゴーグルを通して病室内の様子を遠隔で見ることになります。

一方ARを用いた診療も行われました。雲南省昆明市の昆明医科大学附属第二医院では、ARメーカー亮風台社製のARグラスと5Gを活用し、AR診療を行いました。これは事前に新型肺炎患者の肺をCTスキャンした画像を、ARグラスを通して立体的に表示するものです。これにより、素早く確実に肺の状況を把握できるわけです。

医療の現場以外でも医療スタッフや、警察官や、ガードマンなど、様々な人々が職務につき現場で尽力しています。厳しい環境の下で、体力ほか、メンタルがまいってしまい、眠れなくなったり食事がとれなくなっている人が続々と出てきます。緊張が継続してストレスフルなだけでなく、いつ呼ばれるかわからない状況で、睡眠が不十分となり睡眠効率が悪くなるという問題が発生しています。