コロナ禍で気軽に出かけられない日々が続く今、ネット通販(EC)の市場規模は飛躍的に拡大している。当初は日用品、食品など生活必需品の買い物が需要の中心だったが、その範囲は人々の趣味・興味に沿った「楽しみ」としての買い物に広がりつつある。

そんな中でこの夏、急激に人気を高めたECサービスがある。GMOペパボが運営する「SUZURI(スズリ)」だ。月間流通総額(2020年6月)は4億円強と、そこまで規模は大きくないが、前年同月と比較すると約3.5倍に成長。とくに新型コロナ発生後に伸びが加速しており、6月に行ったTシャツセールでは8日間で11万枚を売り上げた。7月以降も勢いは衰えていないという。

スズリのサイトをのぞくと、目に飛び込んでくるのは街角ではあまり見かけないような変わったデザインのTシャツやスマートフォンケースだ。動物や植物のモチーフ、柄のパターンやロゴなど、とにかく多岐にわたる種類が販売されている。同デザインでパーカー、トートバッグ、マグカップなどが展開されている場合もある。

「1つも売れなさそうな商品」でも出品可能

突然だが、記者はネギ(野菜)の食べ歩きを趣味としている。関連して、ネギがモチーフになっている雑貨や衣料品を見かけるとつい購入してしまうのだが、普段の生活でそんな商品に出くわす機会はほとんどない。一般のECサイトも同様だ。ところが、スズリ上で「ネギ」と検索してみると、なんと300以上ものネギモチーフの商品がヒットする。これだけでもラインナップの“異様さ”を感じていただけるのではないか。

サイトにはスマートフォンケース、Tシャツ、トートバックなど、累計34万人のクリエーターによる商品がすらりと並ぶ(画像:GMOペパボ)

こうした展開を可能にしているのは、「在庫ゼロ」でオリジナルグッズを販売できるスズリならではの仕組みだ。

スズリは外部からクリエーター(出品者)を募って商品をそろえるプラットフォーム型のECだが、出品者がスズリ側に提供するのはデザインデータのみ。Tシャツなどのアイテムはスズリ側が一括で仕入れ、注文受付、決済、デザイン印刷、検品、梱包、発送などもすべてスズリと同社の提携工場で行う。出品者は自分で在庫管理や顧客対応を行う必要がなく、サイト上にデザインを登録し販売価格を決めれば、ものの2分で出品が完了する。

スズリのもう1つの特徴が、注文が入ってからアイテムへのデザインの印刷を行う「受注生産」であることだ。ベースとなるアイテム(印刷前のもの)は共通化しており、スズリ側が負う在庫リスクも極めて小さい。これにより、商品が売れた場合にのみ手数料を取るモデルを敷くことができた。極端に言えば、出品者は「1つも売れなさそうな商品」でも、臆することなくどんどんサイトに並べられるのだ。