私が編集長を務める雑誌『ハルメク』は、いわゆるシニア女性誌である。読者層はおおむね65〜68歳が中心で、いわば“年金もらいたて”世代。夫や自分が仕事を引退し、年金中心の生活に切り替わり、家計の収支が大きく変動するなかで、「えっ、年金ってこれだけしかもらえないの?」と驚いたり、「どんどん貯金が減っていく!」と焦ったり。そんなリアルな姿を取材の過程で目の当たりにすることも多い。

年金生活を安心で豊かなものにするための秘訣は、ズバリ「50代からの備え」だ。単に貯金するという意味ではない。いずれ訪れるリタイヤ後の生活、年金中心の家計をリアルにイメージして、50代のうちから少しずつ暮らしを整えておくことだ。年金受給が始まってから慌ててもできることは限られてしまう。そこで今回は、ハルメクで紹介している“備え方”のなかから、いくつか紹介していきたい。

50代からのお金の使い方・守り方

ハルメクでは2020年に、調査機関「ハルメク 生きかた上手研究所」を通じて「年金とお金の使い方に対するアンケート」を実施した。回答者は55歳から79歳の女性読者839名。年金の受給状況や給与収入の有無、金融資産といった基本的な項目から、毎月の家計簿の収支、節約したい項目、逆に削りたくない支出といったリアルな質問まで、30問近くに記述式で答えていただく長大なアンケートだった。

839名分の回答を分析するうちに、「老後も満足して暮らしている方」には、お金との向き合い方に以下のような共通点があることがわかった。そしてその満足度は、年金額の多寡には関係なかった。

【共通点1】将来使えるお金をしっかりと計算できている

年金生活というのは、たいていの場合「貯金を取り崩す生活」だ。年金収入と今ある貯金を使いながら、100歳まで生きるとしたら、年にいくら、月にいくら取り崩せるのか。早い段階でそのシミュレーションをしておくことで、「少し支出を見直そう」とか「無理のない範囲で仕事を続けよう」といった打ち手を考えることができるし、やみくもに不安がる必要もなくなる。