北日本を中心に紅葉のシーズンを迎えている。朝晩は冷え込む日が増えたが、3密を避けることができるキャンプ場には例年以上に人が集まり、子連れで野外活動を楽しむ人も多い。だが、ときとして子どもは予想もしない行動をとり、楽しい秋の行楽が暗転してしまう危険が潜む。

山岳救助のプロや自然学校のスタッフ、キャンプ愛好家に親子連れの遭難や迷子の事例を取材すると、想像もしないケースが見えてきた。

黒の洋服に青い靴 闇に紛れた5歳児

涼しくなり、虫が少なくなる秋はキャンプに最適な季節で、週末は多くの子連れキャンパーでにぎわう。しかし、少しの油断が一大事に発展することもある。

「最初は名前を呼べばすぐに出てくるだろうと思っていた」。東京都内に住むフリーランスの女性(34)は、東海地方のキャンプ場での自身の経験をこう振り返る。

女性は昨年5月、夫と当時5歳の長男と2泊3日の日程でキャンプに出掛けた。キャンプ場には昼過ぎに到着。しかし、雨天でぬかるんでいる場所が多かったため、テントの設営場所を決めるのに予想以上に時間がかかってしまった。設営を始めたのは午後遅い時間になっていたという。

最初こそ長男は設営を手伝ったが、次第に飽きてテントに入りスマートフォンで遊んでいた。女性は夫と日差しや雨を遮るためのタープの設営に移った。風向きを考えながらテントに背を向けて作業し、気付いた時には、テント入り口に置いてあった子どもの靴がなくなっていた。

活発な長男は、普段からスーパーなどでもどこかへ行ってしまうことが多かった。女性は「過去にも2、3回来たことがあるキャンプ場で、トイレの場所などは長男も知っていた。名前を呼べばすぐに出てくるだろうと思った」と話す。

だがトイレや他のテントの周辺、隣接する林も探したが長男は見つからなかった。姿が見えなくなって20分ほど経過した時点で、女性はキャンプ場の管理棟に電話をかけてパトロールカー出動を要請した。

午後7時近くになり、周囲は暗くなり始めていた。女性は「長男は当時、上下黒の洋服に青い長靴と目立たない服装だった。なぜこんな色の服を着せたのか激しく後悔した」と話す。長男は約1時間後にテントから数百メートル離れた場所にいたところをキャンプ場のスタッフが見つけた。