世の中は、馬鹿馬鹿しいほど明らかな間違いにあふれている。今回はアメリカ大統領選挙を例に取りながら、簡単な行動経済学的視点で「なぜ間違いが生まれるのか」を解説してみよう。

バイデン氏優勢なのに日本では「まだわからない」の謎

いよいよアメリカの大統領選挙は大詰めを迎えている。10月22日夜、最後の「一騎打ち」の討論会が行われた。

PBSという公共放送主催で行われたために第1回目よりも冷静に行われ、ドナルド・トランプ大統領に有利な初回のセッティングよりも、民主党のジョー・バイデン大統領候補に結果的に有利になったようだ。

バイデン氏とトランプ氏の支持率の差は、トランプ氏のコロナ感染以後の1カ月で大きく開いた。足元ではやや差が縮まったが、この討論会も無風であったため、大統領はほぼバイデン氏で確定だ。

同国での調査もすべて「バイデン氏ほぼ確実」を示しているし、かんべえ氏(吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミスト)の好きなリアル・クリア・ポリティクスの「大統領選挙賭けサイト」でのオッズも、バイデン氏が圧倒的に優勢だ。

そして金融市場もバイデン大統領を織り込んで、再生エネルギー銘柄が上昇。一方で債券市場は民主党による財政支出拡大を前提にアメリカ国債の利回りは上昇している。

それにもかかわらず、日本国内では「まだわからない」という記事や専門家のコメントが目立つ。なぜなのだろうか。

理由は2つある。第1に、日本人の専門家は民主党が大嫌いだからである。

このバイアスは驚くほど広く存在する。外務省の官僚が書いたといわれる「YA論文」でも、民主党政権の外交政策は日本に望ましくないことが背景にあり、勢いあまって「トランプ政権は日本の安全保障にとって悪くない」ようなことをのたまってしまう。

なぜ、民主党が嫌なのか。