新型コロナウイルスに感染しても3日で退院し、選挙集会を再開したドナルド・トランプ米大統領。激戦州に乗り込んで「20年前より元気がみなぎっている」と熱狂している支持者へ向かって叫び、敗北しても大統領選の結果を受け入れない、と宣言している。

一方、民主党の大統領候補ジョー・バイデン前副大統領は、国内の深刻な政治的対立について、「もし大統領に選ばれたら、人種を攻撃する発言も、分断をあおる発言もしない。結束を目指す」と約束した。

結婚や恋人関係にも悪影響を及ぼす大統領選

この2人の戦いは、アメリカの一般家庭の夫婦にも影響を及ぼしている。夫婦で支持政党が異なるケースも少なくない。これまで喧嘩したことのなかったカップルがトランプ大統領の発言をめぐって言い争いになってしまい、別居や離婚することも増えているのだ。

マーケティング会社のウェイクフィールド・リサーチ社が2017年、1000人を対象にした調査によると、アメリカ人の10人に1人以上(11%)、とくにミレニアル世代(1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代)では、実に5人に1人以上(22%)がトランプ政権の誕生に伴う政治的な思想の違いをめぐって恋愛関係を終わらせているという。

また、ミレニアル世代の35%、全体では5人に1人以上(22%)が、同じ理由で結婚や恋人関係に悪影響が及んだカップルを知っているとの回答結果が出ている。

夫が共和党、妻が民主党支持という50代カップルに、リモート取材をしたところ、オバマ政権までは政治がらみの喧嘩はなかったが、トランプ政権になってからは喧嘩が絶えないという。妻が夫婦の“ある事件”について語ってくれた。

「友人から大統領選の投票用紙が届いたという話を聞いたので、夫にどうしてウチにはまだ届いていないのと聞いたら、『選挙資格の確認のための告知の郵便物だと思って捨てたかもしれない』と言われました。確かめたところ本当に捨てていました。問いただすとただの勘違いではなく、本物の投票用紙だと知って捨てたとのことで驚きました。

夫とは支持政党が違うので口論になることはありますが、まさか無断で捨てられるとは思いませんでした。これはトランプが郵便投票に猛反対しているせいだと気づき、余計に腹が立ちました。その後は5日間口を利かず、『これは犯罪だからね!』と糾弾し、また大喧嘩に。最後は謝ってきたので許しましたけど」

2重投票などの不正を防止するため、再発行にはかなり面倒な手続きが必要となるが、再送してもらい、投票ボックスで投票したという。トランプ氏の発言がきっかけで、一方が共和党トランプ支持者で、もう一方が民主党バイデン支持者のカップルの場合、口喧嘩では収まらず、法を犯すほどの騒動も現実に起こっているのだ。

アメリカ女性政治センター(CAWP)がまとめている10月3週目までの男女別の支持率の追跡データを見ると、トランプ氏、バイデン氏のそれぞれの男性の支持率はほぼ拮抗しており、週によってはトランプ氏の方が支持率が高い週も見られる。しかし、女性の支持率では圧倒的にバイデン氏支持が多く、その差がそのまま現在の両者の差となっていることがわかる。