三井不は東京ドームへのヒアリングを重ねる中で、スタジアム・ホテル・商業が一体になった東京ドームシティに魅力を感じ、オフィスや商業、ホテル、リゾート事業に至るまで幅広く培った自社のノウハウを生かせると踏んだ。そして8月下旬、東京ドームに完全子会社化を提案。11月上旬に至るまで、東京ドームと複数回にわたり協議を重ねた。

加えて、読売巨人軍というブランド力を生かし、球団とスタジアムを一体で運営するべく、読売新聞グループ本社が東京ドームの株式の一部を保有する方向で調整も進んだ。三井不は10月中旬、読売に対して買収完了後、東京ドーム株の20%を譲渡することを打診。三井不と読売の共同で東京ドームの経営に関与する方針が合意に至り、いよいよ買収交渉は大詰めを迎える。

買い付け価格めぐりせめぎあいも

一方、オアシスとの協議は6月を最後に遅々として進まなかった。東京ドーム側は再度オアシスから書簡を受領したことを受け、10月下旬を軸に交渉の場を設定しようとしていたが、オアシスは10月16日に突如臨時株主総会を請求した。

「(当初の提案から)9カ月経過しても、経営陣から何ら意味のある回答がなされていない」と、社長を含む役員3名の解任を求めた。だが、すでに三井不による買収交渉は佳境を迎えており、三井不以外の候補企業はいずれも途中で交渉を辞退。三井不が提携先の本命となっていた。

最後のヤマ場が、株式の買い付け価格だった。11月12日、三井不は1株1200円を提案するも、東京ドームは2020年1月にオアシスから1株1300円という提案を受けていること、また近年の買収事例では価格に大幅なプレミアムが付いていることを理由に1350円を要請した。

オアシスの提案を受けた1月当時はコロナ禍前で、現在とは環境が異なると三井不は難色を示しつつ、11月18日には買い付け価格を1250円に引き上げた。それでもプレミアムを重視する東京ドームが首を縦に振らず、24日に三井不は1株1300円を提案。そうして26日に最終合意へとこぎつけた。