台北と高雄という台湾の大都市を結ぶ高速鉄道に新たな車両が投入されようとしている。現在、同路線を運営する台湾高速鉄路(高鉄)が詳細を詰めている。

台湾高速鉄道では日本製の車両が走行している。東海道・山陽新幹線「700系」をベースに設計変更した「700T」で、2007年にデビュー。700系製造で実績のある川崎重工業、日立製作所、日本車両製造の3社が製造を担った。

1編成12両で、当初は30編成だったが、その後、台北―南港間約10kmの延伸が決定し、2016年の延伸開業時には車両数が不足することから、川重と電気機器や車上無線の設計・供給を行う東芝の2社連合が2012〜2015年に4編成を追加製造した。現在は34編成だ。

追加の4編成の価格が合計66億台湾ドルだったので、700Tの1編成当たりの製造費は当時の為替レートで1編成当たり45億円ということになる。日本の700系の製造費は40億円だった。700Tは12両編成にもかかわらず16両の700系よりも価格が高い。

「700T」追加生産はできず

台湾の高速鉄道の成り立ちは複雑だ。もともと日本勢と独仏連合が入札で競合、1997年にいったんは独仏連合が受注を獲得したものの、その後1999年に日本が逆転受注を果たした。

ただ、土木構造物などのインフラ部分はすでに欧州仕様で工事が発注されており、日本の受注は車両や電気、信号システムなどにとどまった。その意味において、完全な新幹線システムとは言いがたい側面もある。そのため、車両に求められる仕様が700系とは違う。これが割高な車両価格につながっているという側面がある。

高鉄は利用者の増加や将来の延伸計画に対応するため、2017年に新たな車両の導入の検討を始めた。川重が2012〜2015年の4編成に加え、さらに4編成を製造するオプションを持っていたが、川重はオプションの行使を断念。

一方で、高鉄は2015年に政府の出資を受け入れたことで国の関与が強まり、車両の調達には従来の随意契約ではなく透明性の高い国際入札が求められていた。そのため、新型車両を導入することが決まった。