グローバルな世界の中で、かつてあったはずの輝きとプレゼンスが日本から失われているのはなぜなのか。そして、そこから脱却するためには何が必要なのか。

政府、企業、市民社会、専門家との連携を通じ、テクノロジーを最大限に活用して社会課題を解決するために必要なルールづくりと実証を推進する「世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター」。その初代センター長を務める須賀千鶴が、日本を代表する各界の知識人に真正面から問いかけて議論していく対談シリーズ「日本の分岐点 未来への対話」第1回。

コロナをきっかけに起きた問題ではない

「日本の分岐点」と題した対談シリーズ。ぜひこの方の話から始めたかった。国際連合で軍縮担当事務次長・上級代表を務める中満泉さんだ。混迷を深める国際社会において日本はどうあるべきか。世界がますます内向きになる中で、国際機関にできることは何か。かつて経験したことのない変化が次々と起こる社会で、グローバルに広がる問題にはどう立ち向かっていけばよいかを議論した。

須賀 千鶴(以下、須賀):コロナ禍において、まさに激動と呼べるようなさまざまな変化がありましたが、中満さんが感じていらっしゃる社会の最も大きな変化についてお聞かせください。

中満 泉(以下、中満):不安定で不確実な変化が同時進行的に起きていると感じています。ただ、これらの激変はパンデミックをきっかけに起きたということではなく、むしろ社会が以前から抱えてきた問題がより鮮明に見えるようになったという言い方のほうが正しいと思っています。コロナ下に米中の対立が深刻化していますが、軍縮、安全保障の分野では2、3年ほど前から米ロだけでなく米中対立も重大な懸念事項でした。