アメリカではバイデン新政権がスタートした。株価は高値が続き、アメリカの長期金利が1%台に乗せるなど、市場は景気回復への期待を高めている。一方、足元ではイギリスやアメリカ、中国やインドなどでワクチン接種が始まったものの新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。先行きの世界経済、金融市場の見通しについて、HSBCグローバル・アセット・マネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジストであるジョー・リトル氏に聞いた。

――世界経済を俯瞰すると2021年はどのような見通しですか。

回復の年だが、ペースは地域によって異なる。中国は堅調であり、アメリカも牽引役になる。中国やニュージーランド、台湾はすでに新型コロナ感染拡大前の水準にGDP(国内総生産)が戻っている。ファンダメンタルズが強固なアジア、すなわち日本、韓国、シンガポールとアメリカは回復に向かっている。新興国は回復が鈍く、欧州は昨年の7〜9月の回復の後、10〜12月期に二番底を付けた。ただ、ワクチンの普及を前提に2021年後半にはこうした回復の遅れた国々のキャッチアップも進んでいく。

バブルではないが、リターンはフラット化する

――金融市場をどうみていますか。

2020年は金融緩和によって金利が引き下げられ、全体的にリスクが下がり割引率が低下した。そのため、国債や金など安全資産のパフォーマンスはよく、株式やコモディティのリターンも高かった。今の株高はバブルだという意見もあるが、私はそうは思わない。

2021年も金融政策は緩和的な状況が続く。さらに、アメリカでは民主党が下院だけでなく上院でも過半数を獲得したため、バイデン政権の財政刺激策は通りやすくなった。また、財務長官に就任する予定のイエレン氏が指名承認公聴会で、ハト派的な姿勢を示したため、バイデン政権の政策実現性への懸念は大幅に低下したとみている。

イエレン氏はバイデン新大統領の1.9兆ドル(約200兆円)の救済措置をサポートすることを表明し、かつ、税制改革(法人税率の引き上げを含む)は優先項目ではなく、景気回復に重点を置くとの考えを示した。1.9兆ドルはコロナ対策や家計・中小企業の支援策で、バイデン氏は長期的にはインフラ投資を掲げている。イエレン氏は50年債の発行の可能性を検討するとも発表し、このインフラへの支出拡大も支持するとした。

つまり、不確実性がなくなってきて投資環境はよく、今年も安定したリターンが得られるだろう。ただ、株式は割高になってきていることは確かだ。グローバルな世界株式の中期的なリターンはインフレの影響を除き配当を加味したうえで4.5%程度と予想している。低くはないが、昨年のように2桁はなく、リターンのカーブはフラット化しつつある。