日本を代表するマーケティング支援会社である「刀」が、いよいよ「さらなる成長のステージ」に向けて動き出した。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再建後、2017年に刀を設立した森岡毅氏は、2020年には大和証券グループ本社と資本業務提携。マーケティングのみならず、直接出資もしながら企業の成長を支援する形を整えた。そして今回は世界展開を見据えたベンチャー企業に資本参加、マーケティング支援を行うという。引き続き森岡毅CEOにその真意を聞く。

             前編「日本の企業はブランドの本質を知らなさすぎる」

日本発の「世界一の化粧品ブランド」をともに創る

――刀は今回、男性向けスキンケア化粧品の企画・販売を行う「バルクオム」(野口卓也社長、2017年設立、バルクオムは直訳すれば「バルク(BULK)」が“容器の中身”、「オム(HOMME)」は“男性”の意)に出資しました。なぜ化粧品分野で、それも男性だったのでしょうか。

もともとはバルクオムの経営陣からお声がけをいただいたのがきっかけです。刀としては「通常のマーケティングコンサルティングサービス」「資本参加も含めたマーケティング支援」という2つの選択肢がありました。

バルクオムの多くの方と意見交換をさせていただいた結果、最終的に資本参加の形をとることにしたのです。資本参加の理由は2つあります。

バルクオムは若い世代を中心とした男性のスキンケア化粧品ブランド。当初から世界展開を視野に入れ、ブランド設計されている(写真提供:バルクオム)

第1の理由は、バルクオムという企業や、この化粧品事業に大きな可能性を感じ、この企業を大きくすることが、日本のためになると考えたからです。

同社の経営陣は、「世界一になれるビジネスは何か」、という観点から男性用スキンケア商品のジャンルに進出、本気で「世界ナンバーワンのブランドを創る」と信じて戦っています。

実は、「日本発の世界ナンバーワンブランド」は、それほど多くありません。少なくとも化粧品の世界では見当たりません。しかも、経営陣から「最初から世界展開を視野に入れて、若い世代を中心とする男性のスキンケアに着眼した」とお聞きしたとき、とても大きな可能性を感じたのです。

世界一のブランドを作ろうとしたら、最初から世界制覇を念頭においたブランドの設計が必要になります。

たとえばA、B、C、Dという4つの国があるとしましょう。この4つの国における消費者の「本能、欲求のレベル」は、実はほとんど同じなのです。もちろん、その本能や欲求を満たす方法は、各国の文化の違いによって差異が生じるのですが、根幹にある価値はほぼ同じです。これを最初から理解して「ブランド設計」をできるかどうかで、世界制覇の戦略を描けるかどうかが決まります。