「インスタ映え」が流行語大賞の年間大賞に選ばれたのは、2017年。以来、メディアの記事には何かと「インスタ映え」というワードが使われ、ちまたでは見た目が派手なものを見つければ「映え?」と面白がられる、という現象が続いてきた。

一方、メディアが「インスタ映え」にとらわれている間に、インスタグラマーとその周辺では、別の価値観で投稿を楽しむ文化も育っていた。例えば『見ためは地味だがじつにウマイ! 作りたくなるお弁当』というレシピ本で、「地味弁」と注目されたheavydrinker(MAYA)氏もその1人だ。

写真が派手ではないのに、多くの共感を集めるインスタグラマーたち。その中で、今勢いがあるのが、料理家のぐっち夫婦だ。

インスタで「保存」されるレシピ

2年前に結婚し、たまたま作ったカルボナーラがおいしそうにできたので投稿して以来、毎日投稿していると言う。2018年12月に6500人ほどだったフォロワーは、1年余りで約26万人にまで急増。投稿するレシピは、最低でも6000、多いときは1万5000もの保存数に達する。昨年11月に刊行した初のレシピ本『遅く帰った日の晩ごはん』は、すでに4刷している。

ぐっち夫婦とはユニット名で、夫はTatsuya氏、31歳。妻はSHINO氏、32歳。平日は会社勤めをしている2人だが、取材に訪れた週末のこの日も料理とインスタグラム、そしてYouTube用の撮影をしていた。ダイニングテーブルの上には、作ったばかりの「ピリ辛うまだれの鶏ポッサム」が。

この日作っていたのは、「ピリ辛うまだれの鶏ポッサム」。豚ではなく、鶏を使ったのがポイントだそうだ(撮影:今井康一)

“普通”の夫婦のダイニングルームと大きく違うのは、テーブルを取り囲むカメラの数かもしれない。夫妻の前、横だけでなく、上からもカメラが下がっているだけではなく、撮影した映像や画像がリアルタイムで見られるようにモニターも設置している。こうして撮影することで、料理動画にとって大事な盛り付け方など手元の部分などを無理なく撮影できるのだという。