東京都より「パラ応援大使」に任命され、「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバーでもある、「仮面女子」のアイドル、猪狩ともか。

彼女は26歳のある日、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、脊髄損傷を負って、以後、下半身不随に。歩くことはもちろん、自力で立つことさえできなくなった。

絶対安静の状態からリハビリを経て、車椅子に乗りながらアイドルとして復帰を果たし、現在は、NHK Eテレ『パラマニア』にレギュラー出演するなど、アイドル以外にも活動の場を広げている。

彼女が、「事故の真実」と「それでも前向くことができた55の言葉」をすべて記した初めての著書『100%の前向き思考――生きていたら何だってできる! 一歩ずつ前に進むための55の言葉』が7月31日に発売された。

そこには、どんな「前向き思考」が書かれているのか。本記事では、「物語」と「55の言葉」の2部構成のうち、第2部「55の言葉」の冒頭と「1つめの言葉」の全文を公開する。

立ち直ることができたのは「言葉の力」があったから

「障害を乗り越えた」「受け入れることができた」よくこのように言われるのですが、私にとって障害は「乗り越えた」「受け入れた」といった「過去形」の話ではありません。現在進行形のこととして、日々向き合っていくもの、受け入れていくものです。

胸を張って「乗り越えた」「受け入れることができた」と言える日が来るのかどうかもわかりません。もしかしたらそれは、人生の幕を下ろすその日になってみないとわからないのかもしれません。日々を生きていくしかないのです。

「強いね」「前向きだね」と言ってくださることも多いのですが、私は皆さんが思ってくれているような強い人間ではありません。

というよりも、どちらかといえばメンタルは弱いです……。ちょっとしたことですぐに落ち込むし、長く引きずります。

仮面女子に昇格できなかった時期にメンタルを崩した話は第Ⅰ部(編集部:彼女が「事故の真実と仮面女子になるまでの半生」を綴った約100ページの「物語」部分)でしましたが、やめておけばいいのに、今でも「エゴサ(エゴサーチ)」をしてしまい、私を批判する投稿を見て、めちゃめちゃ凹むこともあります……

要は、特別な人間でも何でもないんです。

ただ、そんな普通にメンタルの弱い私が、不慮の事故に遭って車椅子生活になったとき、「生きる意欲」を失うことなく、前を向くことができたのは、そこに私を救ってくれたたくさんの「言葉」があったからだと思います。