コロナ禍で引っ越しを考える人が増えている。在宅で仕事をするには狭すぎる、地元にいる時間が長くなり、周囲の環境が気になる、通勤が不要なら郊外の広い家に住みたい、住宅費を抑えたいなど、人によって要因はさまざまだが、すでに住み替える人も出始めている。ちまたで言われるように人の流れは地方へ向かうのだろうか。脱都心をした人たちに聞いた。

住居費節約のため共用部充実の賃貸へ

会社経営の単身男性+犬の場合

緊急事態宣言以降、リモートで仕事を始めて1カ月。在宅で仕事ができるならと住み替えを決意した葛本尊広氏は、アプリやWebサービスのデザインを手がけるムーヴを経営し、自宅兼オフィスを借り、そこに社員2人が通勤していた。過去9年間で西新宿、学芸大学、駒沢公園、東玉川など都心、首都圏西側の人気エリアを住み替えてきており、賃料は最も高かった駒沢公園の場合で月34万円(駐車場代含む)。

だが、リモートで仕事が成り立つならオフィスはいらない。社員たちに完全リモートを提案したところ、通勤が不要になるのはもちろん、自由時間が増えると歓迎された。事業の先行きに不安があることを考えて固定費はできるだけ抑えたいと家賃10万円以下を条件に物件探しを始めることに。周囲の30〜40人クラスのベンチャーでもオフィス不要と引っ越しを検討する会社が出始めた時期だったという。

引っ越したのは5月20日。東京都町田市。町田駅から歩いて25分ほどにある元社員寮を改装した、ほかでは見ないほど共用部が充実した「まちのもり本町田」という物件である。

「デザイン性の高い住宅が好きで、そうした物件を集めたポータルサイト『R-STORE』などで当初、茅ヶ崎・湘南エリアを検討していましたが、都民のままでいたほうが、各種助成が有利なのではと判断。都内を必須として、内装がきれいなこと、ペット可、敷地内に駐車場がある点などが決め手でした」

新居は50㎡の2DKで賃料は駐車場代を入れて多少予算をオーバーしたものの10万円ちょっと。23区内、とくに西側エリアでこの賃料だと25〜30㎡ほどだろうか。同物件の場合には共用の85㎡ほどのラウンジや入居者が利用できる広い浴室などがあり、中庭や広場も自由に使える。在宅勤務で気分転換にはもってこいだ。