2020年上半期音楽シーンのブライテスト・ホープを「YOASOBI」(ヨアソビ)とすることに異論は少ないだろう。この2人組は、米津玄師、あいみょん、オフィシャル髭男dism、King Gnuに継ぐ存在にな(ってい)ると見るのだ。

最新(8月3日付)のビルボードジャパン・ホット100では、YOASOBI『夜に駆ける』が、SixTONES『NAVIGATOR』に続く第2位を獲得しているのだが、驚くべきは、この曲が「新曲」ではなく、昨年11月に公開されていることだ。ジワジワと世評を広げた結果1位を獲得、そして、ストリーミングの総再生回数が1億回を突破したという。

というわけで、今回の「月間エンタメ大賞」は、このYOASOBIのブレイクの要因を分析してみたい。とりわけそのポイントは、後述する、その特異な音楽的構造だと考えている。

音楽、映像、小説の「三次元ヒット」構造

まず注目するべきは、その「クロスカルチャー性」である。 公式サイトでYOASOBIは「小説を音楽にするユニット」(NOVEL INTO MUSIC)と紹介されている。双葉社とソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する「monogatary.com」(モノガタリードットコム)という小説投稿サイトがあり、同サイト上の小説を楽曲化するユニットとして、昨年、YOASOBIが結成されたのだ。

メンバーは、「monogatary.com」のスタッフが声をかけた、ボーカロイド楽曲のプロデューサー(「ボカロP」という)=Ayaseと、彼がインスタグラムで見つけたボーカリスト=ikuraによる2人組。

「小説を音楽にするユニット」なので、それぞれの曲には、基となった小説がある(『夜に駆ける』の場合は、星野舞夜の小説『タナトスの誘惑』)。つまり、YOASOBIの楽曲は、音楽だけでなく、元々の小説、そして音楽と小説の世界を体現した映像(MV)が密接にリンクした形でヒットしたのだ。

言わば「三次元ヒット」。これまでの音楽+映像(MVやタイアップCM、ドラマなど)の「二次元」構造に加えて、小説が入る分、麻雀的に言えば一翻(イーファン)多い「クロスカルチャー性」が高まるのだ。