東京のみならず、日本全国が今夏最高の猛暑に見舞われた8月5日。本来ならば、この時期は2020年東京五輪が終盤に差しかかり、9日の閉会式に向けて盛り上がりが最高潮に達していたはずだった。

その会場である新設の施設は今、どうなっているのか。湾岸エリアを取材に回ってみた。

真夏の太陽に照らされる異様

まずカヌー・スプリントやボート競技の会場となる「海の森水上競技場」。総工費308億円を投じて昨年6月に完成したこの施設は、最寄駅であるりんかい線・東京テレポート駅やゆりかもめのテレコムセンター駅から車で15〜20分というアクセスの悪さが以前からの課題だった。

1年前に訪れたときにはコンビニ1つなく、あまりにも殺風景で「人を呼び込む魅力に欠ける場所」という印象が強かった。それは今も変わらず。周辺道路こそ美しく整備されたが、施設の入り口は厳重に封鎖され、関係者以外は立ち入り禁止。隣接する産業廃棄物処理場から大型トラックが出入りするだけで、五輪ムードからはかけ離れていた。

東京港臨海道路側から望む「海の森水上競技場」(写真:筆者撮影)

海の森大橋を渡って、東京港臨海道路側から競技場を眺めた。屋根付きの観客席は日影ができているのに、屋根なしの観客席はギラギラと照りつける太陽の光をダイレクトに受けている。

これは東京都の小池百合子知事が就任したあとの経費削減によって、一部の屋根が外されたためだ。異様な光景なのは間違いない。指定管理者の一般財団法人・公園財団はコンサート利用をメインに考えているというが、本当にそのような活用ができるのか、疑問はぬぐえない。

維持管理費に関しても、もともと年間2億7100万円を見込んでいたが、1年延期で今年度分の新たな負担がのしかかることになる。

東京都オリンピック・パラリンピック準備局は「新規恒久施設については、今年度は大会開催に伴う経費が不要になる一方、延期期間中の施設運営に必要な経費を再計算して、指定管理者への指定管理料の変更を行う」と説明。目下、追加コストをどう抑えていくかを懸命に模索しているもようだ。