いわゆる「陰キャ(いんきゃ)」というわけではなく、社会人として普通に会話ができ、「話し上手」だと言われているような人が、実は話すことに苦手意識を持っているというケースは少なくない。

実は私もそうで、たしかに話すことは嫌いではないのだが、だからといって話し上手では決してない。端的にいえば、“相手による”のである。

しっくりくる相手とであれば話も弾むし、それなりに盛り上げることもできる。だが苦手なタイプだとそうもいかず、時には声が小さくなっていることに気づいたりもするのだ。

だが、同じような人は意外に多いのではないだろうか。だから、話し方に関する書籍も次々と登場するのかもしれない。

『世界最高の話し方――1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた! 「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』(岡本純子 著、東洋経済新報社)の著者は、これまでに1000人以上の社長、企業幹部を指導し、「話し方を変えるサポート」をしてきたという「エグゼクティブの話し方(スピーキング)コーチ」。

誰もが知る日本の代表的大企業のリーダー、閣僚、政治家、官僚、病院や大学の理事長など「話し方のスキル」を求められることが多い方々の相談に乗り、「話し方」にまつわる具体的なアドバイスをしてきたのだそうだ。

話し方は生まれつきの「才能」ではない

日本の大企業のトップに上り詰めるようなエリートの中にも「話すことが苦手で、もっとうまくなりたい」と思っている人がたくさんいるというが、だとしたら興味深い話ではある。

話し方は、生まれつきの「才能」などではありません。
1000人以上の「脱皮」を目撃してきた私だからこそ、自信を持って断言できます。
ちょっとしたノウハウと鍛錬する場と背中を押す人さえあれば、いつからでも学べ、簡単に身につけることができる「スキル」なのです。(「はじめに」より)

ところでコロナ禍の影響で、リモートワークが日常的なものになったという方も少なくないはずだ。しかも感染者が増加していることもあり、その流れが短期間で元に戻るとも考えにくい。

だとすれば今後は、これまでの話し方に加え、モニター越しの“物理的距離”を前提とした話し方が求められていくことにもなる。

とはいえオンラインのコミュニケーションは決して簡単なものではなく、「ズーム疲れ」(Zoom Fatigue)という言葉があることからもわかるとおり、脳に大きな負担をかけるという説すらある。

そこで本書の中から、リモートでのコミュニケーションに役立ちそうなノウハウをピックアップしてみたい。