インターネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーク」。柔軟で自由な働き方として若者には魅力的に映るが、その実態は「個人請負」であり、事実上の無権利状態に置かれているなど、問題点は山積している。同様の問題が発生している諸外国では、すでに対策も進められつつある。

貧困に陥った若者たちの実態に4日連続で迫る特集「見過ごされる若者の貧困」2日目の第2回は、ギグワークの法的な問題点について、日本の労働問題に加え海外事情にも詳しい東京法律事務所の菅俊治弁護士に聞いた(1日目の記事はこちらからご覧ください)。

【2日目の記事】
第1回:若者がハマる「ギグワーク」脱法的仕組みの大問題
第3回:「最低賃金も稼げない」米国ギグワークの衝撃実態

最大の問題は「あらゆる労働法規の脱法」

――台頭するデジタルプラットフォーム型ビジネスなどでサービスを提供する「個人請負」という働き方にはどんな問題があるのでしょうか。

最大の問題はあらゆる労働法規の脱法だ。委託された業務に対して報酬が支払われる形式のため、時間外、休日、深夜労働手当などはつかない。また最低賃金の保障や解雇規制もなく、職を失っても失業保険が使えない。

そのため、実態としては継続的な労務提供がなされているにもかかわらず、プラットフォーマー側の一存で、いつでも「アカウント停止」とされて仕事を失うリスクがある。報酬体系もブラックボックス化が進み、かつ一方的で著しい不利益変更がなされるケースもある。

さまざまなプラットフォーム型ビジネスが、コロナ禍で急拡大した。各プラットフォーマーとも立ち上げ期こそは、働き手の確保と囲い込みのために高い報酬を約束するなど好条件を提示するが、一定の寡占的なポジションを確保すると手のひらを返すように条件の切り下げへと転じている。

とりわけ最近問題となっているのが、収入維持のために相当無理して長時間労働を余儀なくされている人が増えている点だ。長時間労働による過労に伴う事故も発生している。労災保険も適用されず、また事故相手への補償も個人請負の自己責任が問われる場合すらある。

多くの場合で労働法が適用されるべきにもかかわらず、未解決、未整理のまま放置されているというのが日本の現状だ。