5月1日に中森明菜さんがデビュー42周年を迎えました。この記念日に先向け、公式YouTubeチャンネルでは、これまでの曲がセルフカバーされ、続々と公開されました。

年月を経ることで熟成され、豊かな風味や複雑さが増すヴィンテージもののワインのごとく、彼女の歌は、深みが増し、新たな感情や表現が加わり、聴き手に豊かな体験をもたらしてくれます。

さまざまな名曲の中でも「TATTOO」(作詞:森由里子、作曲:関根安里)は、ことさら異彩を放っています。リリースされた1988年当時の歌い方と比べると、如実に感じます。1988年と2024年の歌い方を比べ、彼女が歌に込めようとした意図を表情分析の視点から考察したいと思います。

込められたメッセージと表情の矛盾の謎

リリース当時の歌唱中の表情には、八の字眉、微笑、カメラ目線が目立ちます。特に、八の字眉が特徴的です。八の字の眉は、眉の内側が引き上げられると生じます。悲しみや苦悩、共感を抱くときに生じる表情です。救いの手を差し伸べてもらう可能性を高める、あるいは、差し伸べてもらいたいときにする表情です。

「TATTOO」を作詞された森由里子さんは、公式ブログ「ユリコの森」の中で、歌詞に込めたメッセージについて次のように書いています。

“歌の中では、強くてセクシーでたとえようもなく魅力的な女が、弱い男たち、遊び人で軽いだけの若者たちにメッセージを突きつけます。

心に、魂に、愛という消えない刺青を入れろ。
ロボットや人造人間じゃない、血の通った強い男が真の愛を魅せてくれたら、私だって、おちてあげるわ。

と。”

引用:ユリコの森「ブレードランナー」と「TATTOO」より