全車禁煙――レンタカーなどで、そのようにうたうケースが増えてきました。喫煙車はやはり、クルマの価値を下げてしまうのでしょうか。その一方、車内で吸いたいというニーズは根強いものがあります。

大手レンタカーは軒並み乗用車「全面禁煙」に

 2020年4月から施行された改正健康増進法により、飲食店などで全面禁煙の店が増えましたが、クルマの世界でも同様の流れがあります。

 たとえばレンタカー。ニッポンレンタカーは2018年11月から、乗用車・ワゴン車の全面禁煙を実施し、トヨタレンタカーやタイムズカーレンタル、日産レンタカーなどでも、いまや「禁煙車」が当たり前になっています。

 ニッポンレンタカーはそれ以前から、一部地域で先行して乗用車・ワゴン車を全面禁煙にしていましたが、全国での適用には抵抗もあったといいます。そうしたこともあり、一部の商用クラス(トヨタ「プロボックス」など)には喫煙車を残しているものの、特にレジャー客やファミリー層からは、禁煙への強い要望が寄せられていたそうです。

 なお同社では、車内での喫煙が判明した場合の罰則として、2万円の休業補償料を設定しています。車内の防臭・脱臭など様々な対策を施しているものの、タバコに関する車内臭の指摘は多いとのこと。

 しかしながら、「車内で吸っていなくてもニオイが残っているケースもあれば、窓を開けていて、近くのタバコの煙が入ったというケースもあります」(ニッポンレンタカーサービス)といい、立証が難しい部分もあるそうです。

「喫煙車」は価値も下がるのか?

 では、喫煙車は禁煙車と比べて価値も変わってくるのでしょうか。

 全国展開のある中古車チェーンは、喫煙の事実による価値の変化はほぼないとのこと。というのも、オーナーが複数変わっているクルマは「喫煙歴」を追うことが難しく、かつ基準もあいまいだということです。そもそもニオイに関しては、下取り後のクリーニングで消せるといいます。

 一方で、「オートバックス」を展開するオートバックスセブンは、中古車の下取りなどで喫煙に関するチェック項目も設けており、価値に影響すると話します。ニオイのほか、内装の黄ばみ、焦げ跡といったことも見るとのこと。

 中古車販売店の業界団体であるJU(日本中古車協会連合会)の関東甲信越連絡協議会に聞いたところ、車体の傷や修復歴と同じく、ニオイや黄ばみも一般的には下取りの際の減点対象になるといいます。とはいえ、販売店は下取りや買い取りのあと、一定のクリーニングを実施したうえで販売するのが一般的であり、ユーザーに提示される価格はあくまで、それを済ませたうえでの状態の価値だそうです。

 つまり、車内での喫煙の事実というよりも、重視されるのはあくまで状態であり、喫煙による影響の程度で価値が左右される、といえそうです。

 ちなみに、車内の灰皿は新車からほとんど姿を消していますが、それと反比例するように、カー用品としての灰皿の需要は拡大しています。カー用品メーカーのカーメイトによると、車載灰皿は年間10億円もの市場があるとのこと。これには、近年の加熱式タバコの普及とともに、対応する新商品が続々登場してきたことも影響しています。