北海道を拠点に、定期便では国内線のみを運航するAIRDO。その初号機は、ボーイング767シリーズの航続距離延長型でしたが、導入の裏側には同社の経緯が隠れていました。また「前世紀レトロ」が詰まった機内にもその名残が残っています。

末尾の「ER」は航続距離延長型の証

 2021年1月20日(水)をもって、商用定期便としての役目を終えた、北海道を拠点とする航空会社AIRDOの初号機(機番:JA98AD)。この機体はボーイング767-300ERと呼ばれるタイプですが、ここにはほかのAIRDO機では見られないような特徴が多々ありました。

 この初号機がデビューしたのは、同社が運航を開始したのと同じ1998(平成10)年。型式に付いた「ER」とは「Extended Range」の略であり、「航続距離延長型」を意味します。

 ボーイング767シリーズのなかでは、長い距離を飛ぶことができる仕様で、製造元のボーイングによると航続距離は約1万1000km。といってもAIRDOは2021年現在、北海道の空港を拠点とし、羽田を中心に国内線を運航しています。そのため、通常の旅客定期便の範囲では、長い航続距離が必要とされる国際線は飛んでいません。

 AIRDOによると、これはあえてとのことで、その理由を次のように説明しています。「AIRDOは当初、『北海道国際航空』という名で設立しました。その名のとおり767-300ERを入れたのも、当時の役員が国際線への展開を見据えたものだったのです」

 このことから、初号機は機内設備も「国際線っぽい要素」を多分に含んでいたのが特徴だといいます。

機内も特徴的! レトロ感もそこらじゅうに

 当時国際線展開も目指していたAIRDOが導入した初号機、JA98ADは、飛行機のサイズのわりにトイレの数が多く備わっているのが特徴といいます。ほかの航空会社の767-300シリーズのトイレの数は4つから5つというのが多いなか、この初号機のトイレの数は7つ。同社によると、このトイレの数は「国際線展開を検討していたときの名残り」なのだそうです。

 そしてこの機体の大きさのわりに多いトイレなどを始めとして、JA98ADは客室にも「前世紀出身の飛行機」ならではのレトロ感がありました。

 シートは、薄型の背もたれがトレンドとなっているなか、ラストフライトまで厚みのあるものを使用。ひじ掛け部分には、「灰皿」らしきフタが残っていました。シートリクライニングの動き方も、近年のものより豪快なのは特徴といえるのかもしれません。

 客室上部の大型モニターはプロジェクター式で、荷物棚の形状も異なります。トイレの水を流すスイッチも押しボタン式ではなくレバー式で、洗面台の蛇口脇にあるレバーも現行の大手航空会社でよく見るタイプとはだいぶ違ったものを備えていました。

 AIRDOの歴史とともに22年間歩んできた初号機は、同社の歴史を感じさせるものであるだけではなく、平成でスマート化した旅客機の客室事情をも反映していたといえるでしょう。