「ドリームリフター」の愛称を持つ、異形の巨大貨物機ボーイング747-400LCF、その貨物室を取材。室内の大きさはもちろんですが、その構造や貨物運搬を支援する車両に至るまで、ユニークなものだらけでした。

世界に4機のみ「ドリームリフター」キャパシティは「ジャンボ」の3倍

 アメリカの航空機メーカー、ボーイングと中部国際空港セントレア(以下、中部国際空港)が2020年2月12日(水)、報道陣に向けボーイング747-400LCF「ドリームリフター」見学会を実施しました。大々的に報道陣に向け機体内部が披露されるのは、今回が初といいます。

「ドリームリフター」は2006(平成18)年に初飛行した、「ハイテクジャンボ」ことボーイング747-400型機がベースの貨物機です。ボーイング787シリーズの大型部品を輸送するために生み出されたもので、世界で4機のみ存在します。日本企業が製造した787のパーツを、最終組み立てが行われるアメリカに運ぶために、頻繁に中部国際空港へ飛来します。

 その特徴は、ユニークな見た目通りの「ラージ(巨大)」な貨物室でしょう。標準タイプの「ジャンボ」ことボーイング747シリーズも、その巨大な胴体から貨物機としていまだ広く使用されていますが、この「ドリームリフター」はそれを大きく上回ります。同じベースモデルの貨物型である「ジャンボ貨物機」のひとつ、ボーイング747-400Fと比べると、「ドリームリフター」は約3倍の容量を積み込むことができるとしています。

 ちなみに、型番末尾の「LCF」は「ラージ カーゴ フレイター(Large Cargo Freighter)」を略したものだそうです。

ミニクーパーなら80台入るという「ドリームリフター」貨物室へ

「ドリームリフター」の特徴は、「ジャンボ」のトレードマークとなっているコブ(アッパーデッキ)の後ろに、さらに大きなコブがついていて、遠目からでもひと目でわかるユニークな外観です。この改造は、設計をボーイングが行い、台湾で改造を実施したものといいます。

 貨物室は、縦7m、横7m、長さ30mで、実際入ると巨大なトンネルのようでした。ボーイングジャパンのロブ・ヘンダーソン コミュニケーションディレクターによると、「ミニクーパーが80台入る」ほどのスペースがあるそうです。

 貨物の積み下ろしの方法もユニークです。胴体後部が横に折れるように開く構造となっていて、大きな荷物もここからスムーズに搭載できます。

 なお、「ドリームリフター」は旅客型を改造したものであるため、「ジャンボ貨物機」では一般的な、胴体最前部が口のように大きく開く構造は、採用されていないとのことです。

「ドリームリフター」もユニークなら、支援車両もユニーク!

「ドリームリフター」に大型パーツを積み込む際には、このために作られたユニークな積み込み車両も用いられます。

 その代表的なものが巨大ローダーです。日本で作られた主翼や胴体などのパーツを、「ドリームリフター」へ積み込む際に用いられます。今回の見学会で積み込まれたのは、ボーイング787-10型機の主翼部分で、787シリーズ用の1000番目の主翼にあたります。

 胴体後方部分の開け閉めは、「モバイルテールサポート」と呼ばれる専用の車両を用いて行われます。先出のローダーとモバイルテールサポート、これら2種類の「ドリームリフター」専用車両は、中部国際空港にそれぞれ2台ずつ、配備されているそうです。

 ロブ・ヘンダーソン コミュニケーションディレクターによると、「ドリームリフター」が中部国際空港に飛来するのは、おおむね週に6回ほどといいます。また「ドリームリフター」の運航に携わる、ボーイングジャパンの坂本正行さんは「通常の貨物便は、夜に離着陸することが多いのですが、『ドリームリフター』は昼に飛んでくることが多いです」と話します。

 この日、機内が公開された「ドリームリフター」は、同日の16時30分過ぎに中部国際空港を離陸し、アメリカへ向かいました。