鉄道車両のなかには、当初の役割を終えたのち大改造され、見違えるほど“変身”したものがあります。キハ32形気動車を元に生まれた、JR四国の予土線を走る0系新幹線もどき「鉄道ホビートレイン」も、そのひとつです。

四国を走る新幹線 0系を模したキハ32形「鉄道ホビートレイン」

 鉄道車両のなかには、改造で大変身したものもあります。

 四国で走っている“新幹線”もそのひとつです。「四国には新幹線なんて走っていないのでは?」と思われる人も多いことでしょう。もちろん、四国に新幹線は通っていませんが、新幹線をイメージした在来線の車両があるのです。

 その車両は、窪川駅(高知県四万十町)と宇和島駅(愛媛県宇和島市)のあいだで走っています。この区間では、国鉄時代から貨車を改造したトロッコ列車が運行されているほか、2011(平成23)年には観光列車「海洋堂ホビートレイン」も加わりました。そして、これに続いて2014(平成26)年に登場したのが「鉄道ホビートレイン」です。

 この車両を初めて見た人は、誰もがその姿に驚くでしょう。キハ32形気動車を改造した「鉄道ホビートレイン」は、どこから見ても0系新幹線にそっくり……どころか、一目で“ニセモノ”と分かる姿です。

「本物の0系新幹線の座席」があるキハ32形「鉄道ホビートレイン」車内

 車両は、カラーリングこそ本物とほぼ同じであるものの、特徴的な団子鼻はハリボテ感が満載で、上半分はフレームがむき出しになっています。前面下部にあり線路上の障害物をはねのける「スカート」と、屋根上にあるアンテナは、そこだけ見れば「似ていなくもない」というレベルですが、それにしても“そっくり”とはほど遠いレベルです。

 ところが、しばらく眺めていると、だんだんいとおしくなってくるから不思議です。この車両が走る予土線は、JR全体でも有数の赤字路線で、常に存廃問題がくすぶっています。話題を作って乗客を増やしたい、でもお金はかけられない……そんな状況のなかで生まれたのが、この“ニセ新幹線”なのです。

「鉄道ホビートレイン」が登場した際、JR四国が作成したパンフレットやのぼりには、「なんだこの列車は!?」というキャッチフレーズが書かれるなど、車両だけでなくPRにも遊び心が見られました。

 ちなみに、「鉄道ホビートレイン」車内には本物の0系新幹線の座席があるほか、四国を走る車両の模型も展示。床やカーテンも鉄道の図柄になっているなど、実はかなりこだわったつくりになっています。外から眺めるだけではなく、ぜひ一度乗り、細部まで観察してみるとよいかもしれません。