北朝鮮が「プルアップ機動」が可能な、迎撃が難しい短距離弾道ミサイルを発射したとみられます。世界でもほかにロシア「イスカンデル」ぐらいしかないもので、対抗手段をアメリカも模索するなか、新たな脅威になるかもしれません。

単に放物線を描くだけじゃない「プルアップ機動」の弾道ミサイル

 北朝鮮が2020年3月21日(土)朝、短距離弾道ミサイルと見られる飛翔体を2発、日本海に向けて発射。韓国軍の分析によると、その軌道が、ただ単に放物線を描く従来のものとは異なる、「プルアップ」と呼ばれるものだったと報道されています。

 この「プルアップ」は、従来の弾道ミサイルより迎撃が厄介です。

 単純な放物線を描く従来の弾道ミサイルは、発射地点と途中の通過点からある程度、その軌道を予測でき、そこから落下エリアも予想できます。しかし「プルアップ」の弾道ミサイルは、放物線を描いて落下している途中で水平飛行に移ったのち、再び急上昇して急降下。このため軌道の予測、つまり迎撃が難しいといえます。

 2019年に北朝鮮が相次いで発射した短距離弾道ミサイルと見られる飛翔体も、このたびと同じような軌道でした。今回の発射は、北朝鮮のミサイル技術がそうした高性能ミサイルを量産できるレベルに達している、と判断することもできるでしょう。

 2020年3月現在、こうした「プルアップ機動」ができる短距離弾道ミサイルは、北朝鮮以外ではロシアの「イスカンデル」ミサイルぐらいしかありません。「イスカンデル」への対抗手段をアメリカが模索するなかで、北朝鮮が類似のミサイルを開発できるようになったとなると、日本やアメリカにとって脅威になるかもしれません。

※参考文献:『軍事研究』2020年3月号