JALとJASが合併し、元JAS機は老朽化や機材統合で大半が退役しましたが、この例外に元「レインボーセブン」B777-200があります。そしてこの機がJASで成した功績は、いまもなお、JALの大きな強みのひとつになっています。

独自性のある座席仕様が特徴のJAS「レインボーセブン」

 日本にはかつてJAL(日本航空)、ANA(全日空)に次ぐ、国内第3位の事業規模を持つJAS(日本エアシステム)という航空会社がありましたが、2004(平成18)年にJALと合併し、その社名は聞かれなくなってしまいました。

 もともとJASは、エアバスA300型機やマグダネルダグラスMD-80シリーズなど、JALやANAとはひと味違った飛行機を保有していました。しかし合併後は機体の経年化や、機材統一の観点から、そのほとんどが退役しています。

 ところが合併から16年経った2020年3月現在でも、旧JASの飛行機がJALの「鶴丸」をつけて飛び続けています。それは、おもに羽田空港発着の国内幹線に用いられる、ボーイング777-200型機で、6機が現役です。

 JALがボーイング777-200型機を初導入した翌年の1997(平成9)年、JASも同型機を次世代のフラッグシップ機として、「レインボーセブン」と呼ばれる虹色の塗装を機体に施し、導入します。

 当時のJAL、ANAの国内線が上級のスーパーシートと普通席の2クラス編成だったのに対し、この「レインボーセブン」は、スーパーシート、中級のレインボーシート、普通席の3クラスを配したレイアウトで、日本の国内線では初となる全席機内モニター装備など、当時の国内線用機としては豪華な仕様で知られていました。

 JALと統合後し外見の塗装が同じになっても、この機内仕様は引き継がれていたそうで、この内装が元「レインボーセブン」を見分けるひとつのポイントとなっていました。

旧JAS「レインボーセブン」現在の見分け方は?

 そののち機内の内装も2012(平成24)年までに、元々のJAL機と同様のものに統一されることになりました。そのため現在、JALのボーイング777-200型機と元JASの「レインボーセブン」は、搭載エンジンなどの違いはあるものの、乗客の立場から見分けるには、飛行機の胴体最後部や主翼などに書かれている機番を確認するのが確実です。

 現在、導入からJAL機であるボーイング777-200型機の機番は、国際線用の-200ER型機を含めても「JA771J」など「JA7xxJ」といった番号が振られているのが大多数で、このパターンの例外は初期導入の「JA8985」1機のみです。これに対し、元「レインボーセブン」の機番は「JA8978」「JA8979」「JA007D」「JA008D」「JA009D」「JA010D」の6機で、「JA」以降の4桁の英数字が前出の例外の1機を除き大きく異なっています。また、おもに羽田拠点の国内線に投入されていることも、絞り込みできるポイントでしょう。

 ただこれらの元「レインボーセブン」も、おおむね機齢が20年以上と、経年が進んでおり、日本の空から見られなくなる日も、そう遠くはなさそうです。

 JALは2019年より、新鋭機エアバスA350-900型機の国内線導入を進めており、同社はこの理由を「経年が進む国内線用ボーイング777の後継」としています。そして、2020年2月には「レインボーセブン」初号機の「JA8977」が路線から退きました。

 とはいえこの「レインボーセブン」は、たとえその姿が見られなくなっても、今後もJALにとって大きなセールスポイントのひとつであり続けるであろう「遺産」を残しています。

「レインボーセブン」がJALに残した「遺産」とは

 先述の通り、JASのボーイング777-200型機こと「レインボーセブン」は、当時の国内線ではユニークな、3クラス制の客室を採用していました。

 中級クラスの「レインボーシート」は、その名のとおり「レインボーセブン」導入をきっかけに作られたものです。普通運賃から1000円プラスで乗ることができましたが、普通席と比べて広く、フットレストが搭載された、ゆとりのある座席でした。そのためコストパフォーマンスが高く、JAS時代も人気のシートだったそうです。

 JASが飛んでいたころのJAL国内線は、スーパーシートと普通席の2クラス構成でしたが、JASとの経営統合後この編成を取りやめ、「クラスJ」という名で、プラス1000円(当日アップグレード料金)で乗れる中級クラスを設定します。旧JALスーパーシートの一部サービスを簡素化する代わりに、利用運賃も手頃にするという試みです。

 ちなみに内装が旧JAS時代のままだったころの「レインボーセブン」は、最上級の「スーパーシート」、そして「レインボーシート」のふたつが「クラスJ」の名前で、しばらくそのまま飛んでいたそうです。

 この「クラスJ」は2020年現在も、JAL国内線の大きなセールスポイントとなっており、ビジネスパーソンを中心に人気を博しているそうで、多数の国内線で導入されています。

 なお「レインボーセブン」の後継ともいえるエアバスA350-900型機は、普通席含む全席に、JALの国内線用機材としては「レインボーセブン」以来となる、全席機内モニターを搭載するといった新仕様の客室です。そしてもちろん、「クラスJ」シートも設定されています。