2020年度も多くの高速道路が開通する予定です。三陸沿岸の縦貫道が仙台から八戸まで全線開通するほか、中部横断道や名二環(名古屋第二環状道)などでは未開通部分がつながり、ネットワークとしての機能が大きく広がります。

東北の道路ネットワークが大きく進展

 国土交通省は2020年3月31日(火)、全国の地方整備局などにおける2020年度の事業概要を発表しました。今回は、今年度に開通するおもな高速道路を紹介します。なお、IC名などは一部仮称のものがあります。

「三陸沿岸道路」が全線開通

「三陸沿岸道路」は、仙台市から青森県八戸市まで、太平洋沿岸を縦貫する359kmの道路の総称で、仙台市から岩手県宮古市までが三陸道、宮古市から久慈市までが三陸北道路、久慈市から八戸市までが八戸久慈道と案内されています。東日本大震災の「復興道路」に位置付けられており、2019年度末時点で271kmが開通済みですが、次の未開通区間およそ88kmも、2020年度中にすべて開通する見込みです。

・2020年夏ごろまでに開通:1区間17.0km(宮古中央IC〜田老真崎海岸IC)
・2020年内に開通:3区間17.0km(小泉海岸IC〜本吉津谷IC、田野畑北IC〜普代IC付近、洋野IC〜階上IC)
・2020年度末に開通:4区間54.3km(気仙沼港IC〜唐桑南IC、田野畑南IC付近〜田野畑IC付近、普代IC付近〜久慈IC、侍浜IC〜洋野IC)

 なお三陸沿岸道路は、宮城県内における三陸道の一部区間(仙台港北IC〜鳴瀬奥松島IC)を除き無料です。

東北中央道「相馬〜福島」つながる

 東北中央道は、福島県相馬市を起点に、山形県内を南北に縦貫し、秋田県横手市に至る約270kmの道路です。福島県内は、霊山IC(福島県伊達市)と桑折JCT(同・桑折町)までのあいだが未開通ですが、国道4号IC(仮称)〜桑折JCT間2.0kmが2020年夏ごろまでに、霊山IC〜国道4号IC間10.2kmが2020年度末に開通する予定です。

 これにより、常磐道と接続する相馬ICから、東北道と接続する桑折JCTまでがつながるだけでなく、仙台から相馬、福島、山形のあいだで「8」の字状の高速道路ネットワークが形成され、ルートの選択肢が格段に増加します。なお、この東北中央道の「相馬〜福島」区間は、東日本大震災の「復興支援道路」に位置付けられており、通行は無料です。

高速道路の料金体系が大きく変わる「開通」も

 中部地方でも、道路ネットワーク上の重要な区間が開通します。

中部横断道「山梨〜静岡」つながる

 中部横断道は、静岡県内の新東名と山梨県内の中央道、および長野県内の上信越道を南北につなぐ約132kmの道路です(一部区間は中央道と重複)。このうち新東名〜中央道区間で未開通の南部IC〜下部温泉早川IC間(山梨県南部町〜身延町)13.2kmが、2020年内に開通し、静岡県から山梨県のあいだが1本につながる見込みです。

 中部横断道は上信越道などとあわせ「太平洋側と日本海側をつなぐ道路」として位置付けられており、ルートの選択肢を多方面に広げるだけでなく、山梨県内にも駅ができるリニア中央新幹線の開通後にも重要な意味を持つものとされています。山梨県は、「リニアの駅から30分到達圏域」の県内人口カバー率を拡げるべく道路整備を行っており、中部横断道がその主要な役割を担うことになるのです。

 なお、中部横断道は有料区間と無料区間が混在しており、今回の開通区間を含む山梨県内の富沢IC〜六郷IC間およそ30kmは、無料区間にあたります。

名二環が全線開通 料金体系が一変

 中京圏では名古屋第二環状道、通称「名二環」の名古屋西JCT〜飛島JCT間が2020年度中に開通し、名古屋高速5号万場線と東名阪道、伊勢湾道が結ばれます。名古屋市の外周部を取り囲む名二環が、最初の開通から約32年を経て全線開通を迎えます。

 これにあわせて、名古屋高速およびNEXCO中日本の高速道路は「中京圏の新たな高速道路料金」へと移行します。

 具体的には、均一料金制の名古屋高速が、利用距離に応じて加算される対距離料金制になり、NEXCOと同じ5車種区分に統一されます。また、東海環状道や名二環を利用した迂回ルートが料金面において不利にならないよう、経路によらず、起終点間の最短距離が適用されるようになります。東海環状道の内側では路線により料金体系が異なっていましたが、道路ネットワークの進展にともない、統一的な料金体系に整えられる形です。

全国の開通予定をイッキ見!

 このほか、全国の高速道路で部分的な延伸などが予定されています。

函館新外環状道路 空港道路(北海道)

 函館新外環状道路 空港道路は、函館新道の函館ICに接続し、函館空港までを結ぶ道路です。2020年度には赤川IC〜函館空港IC間7.6kmが開通し、約10.0kmの事業区間全線が完成します。

宮古盛岡横断道路(岩手県)

 宮古盛岡横断道路は、国道106号を一部改良、一部はバイパス道路を建設しつつ、岩手県宮古市と盛岡市のあいだに高規格の道路を形成する事業で、東日本大震災の「復興支援道路」に位置付けられています。2020年度には5区間、計33kmが順次開通し、事業中区間の大部分が完成する見込みです。

新東名高速 御殿場IC〜御殿場JCT(静岡県)

 新東名高速は当初、伊勢原JCTから御殿場JCTまでの約48kmが2019年度中に開通する予定でしたが、工事の遅れなどから、2023年度までに順次開通するスケジュールに見直されました。そのうち、御殿場IC〜御殿場JCT間およそ7kmは、2020年度に開通する見込みです。新東名の御殿場ICは、東名の御殿場ICのやや北西に設けられます。

北近畿豊岡道 日高神鍋高原IC〜豊岡南IC(兵庫県)

 北近畿豊岡道は、舞鶴若狭道の春日JCTから、播但(ばんたん)道に接続する和田山JCTを経て、兵庫県豊岡市までを結ぶ道路で、現在は約60kmが完成しています。2020年度には豊岡市内の日高神鍋高原ICから、但馬空港にも近い豊岡南ICまでの約6kmが開通する予定です。

中村宿毛道路(高知県)

 中村宿毛道路は、高知県四万十市と宿毛(すくも)市のあいだを結ぶ23.2kmの道路です。現在はほかの高速道路とつながっていませんが、高知道や松山道の一部区間と同じ「E56」の高速道路ナンバリングが付されています。2020年夏ごろには宿毛市内の平田IC〜宿毛和田IC間7.6kmが開通し、事業中の全区間が完成する見込みです。

東九州道 志布志IC〜鹿屋串良JCT(鹿児島県)

 東九州道は北九州市から鹿児島県姶良(あいら)市まで、おもに九州の東海岸を南北に縦貫する道路で、現在は宮崎県南部と鹿児島県東部の建設が進められています。2020年度中には、鹿児島県内の志布志IC〜鹿屋串良JCT間19.2kmが開通し、九州南東部の国際的な重要港湾を持つ志布志から、鹿児島市方面へ高速道路が通じます。