駅構内や車内での忘れ物のうち、拾得されたものは駅などで保管され、物品の名称や特徴のほか、記名があれば持ち主の情報がシステム上で管理されます。日々数多くの問い合わせがあるという忘れ物。ついに検索サービスが公開されました。

本人が特定できるものなら、ウェブサイトで検索可能

 東京メトロは2020年3月31日(火)から公式ウェブサイト上で、駅構内や車内で拾得された忘れ物を検索できるサービスを開始しました。対象となるのは運転免許証やパスポートなどの公的証明書、記名式のICカード乗車券など本人が特定できるもの、またはそれらが入った財布や袋類など本人が特定できるものを含む忘れものです。

 利用方法は、公式ウェブサイトのトップページ下にある「お問い合わせ(お忘れ物・ご意見等)」から「お忘れ物をしたときは」のページを開き、そこで画面右下に表示されるウィンドウへ対話形式で情報を入力していくだけです。

 忘れ物をしたのはいつか、どのような忘れ物をしたか、名前を確認できるものは何かを表示される一覧から選択し、最後に名前を確認できる品物に記載されている名前を入力すると、該当する忘れ物があるかどうか、自動的に検索が行われ、結果が表示されます(一覧に表示されない忘れ物はこのサービスの対象外なので、駅やお客様センターに問い合わせる必要があります)。それらしい品物が見つかった場合は、公的証明書類と印鑑を持って保管場所まで取りに行けば、受け取ることができます。

返還率は約3割 傘、携帯電話、最近はワイヤレスイヤホンも

 注意点としては、入力する名前は忘れ物に記載された通りの表記でなければならないことです。たとえば、ICカード乗車券のように券面にカタカナで名前が記載されている品物の場合は、漢字ではなくカタカナで名前を入力する必要があります。

 受け取り時に公的証明書などで本人確認を行いますので、仮に誰かが名前を偽って検索したとしても、勝手に持っていかれてしまうということはありません。

 東京メトロによると、駅構内、車内で発見される忘れ物の件数は1年間で約66万(2018年度)、1日あたり1800件以上にもなる計算で、そして忘れ物の件数は年々、増加しているそうです。ちなみに、返還されるのはそのうち約3割とのことです。

 最も多い忘れ物は傘で、特に梅雨のシーズンは件数が増えます。そのほか、冬になるとマフラーや手袋、薄着になる夏場は携帯電話や名刺入れ、パスケースなど小物類の忘れ物が増える傾向にあるとか。最近では、電子タバコやワイヤレスイヤホンなどの忘れ物が増えているといいます。

 こうした忘れ物は、拾得された当日は駅で保管し、種類や特徴を忘れ物検索システムに入力します。システムに登録された忘れ物の情報は、各駅やお客様センターの端末で共有され、どこからでも検索ができるようになっています。

忘れ物だけで1日500件を超える問い合わせも

 駅に届いた忘れ物は、翌日に飯田橋駅構内にある「お忘れ物総合取扱所」に送られて一時保管されます。拾得から5日目を過ぎると警視庁遺失物センターに送られて3か月間保管された後、遺失物法の規定に基づいて処分されます。

 忘れ物をしてしまった場合は、駅事務室に申し出るか、お客様センターに電話をするか、公式サイトの忘れ物問い合わせフォームから問い合わせることができます。ただ、お客様センターに寄せられる忘れ物の問い合わせは年間約19万件(2018年度)、1日平均520件にも達するといいます。お客様センターにはほかにも多くの問い合わせが来ることから、電話がつながらなかったり、お客様センターの営業時間外は対応できなかったりと、対応に限界がありました。

 東京メトロは、落とし主が明らかな忘れ物については、利用者が公式サイトで24時間、自ら検索できるようにすることで、利便性を向上したとしていますが、同時に問い合わせ件数を削減し、業務を効率化しようというのが、今回の取り組みのもうひとつの狙いと考えられます。

 もっとも利用者からすれば、こうしたサービスを利用しなくて済むのが一番です。新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛により、鉄道を利用する機会は減っていますが、久しぶりに鉄道を利用した際に忘れ物をしないよう、しっかり確認してから電車を降りるように心がけたいものです。