飛行機に乗っているとき地上と比べてお酒に酔いやすいという説、ANAによるとこれは本当で、ここには地上1万mを飛ぶ飛行機特有の機内環境が関わっているそうです。CAも乗客の飲みすぎを防ぐべく、さまざまな取り組みをしていました。

「地上の2倍酔いやすい」との報告も

 ジェット旅客機が巡航する高度約1万mの空気の濃さ、すなわち気圧は、地上と比べて約5分の1程度といわれており、もし万が一そのまま放り出された場合、人間はもちろん生きていけません。

 そのため旅客機の客室は気圧が高められており、人為的に地上に近い環境にすることで、高い高度を飛んでいても乗客が不自由なく過ごせるようにつくられています。

 とはいえ海抜0m、いわゆる地上とくらべると、旅客機の機内は少々特殊な環境です。機種による差はあるものの、巡航中の旅客機の気圧はおおむね富士山5合目程度に相当する0.8気圧で、空気中の酸素濃度もそれにともなって薄くなります。

 こうした環境下から、飛行機に乗ったとき、地上と同じように過ごすと思わぬ影響が出ることがあります。そのひとつが飲酒で、巡航中にお酒を飲むと地上と比べて酔いやすくなるという説があります。

 ANA(全日空)によるとこの説は本当とのことで、一部では地上の2倍程度、酔いやすいという報告もされているそうです。

 この理由については諸説あるものの、地上と比べて空気が薄いことから体内の酸素が減少し代謝が悪くなり、アルコール分解が遅れるため、ならびに気圧が低いために末梢血管が広がり、血液循環が促進され、血液中に取り込まれたアルコールが地上よりまわりやすくなるためとしています。

 巡航中にお酒を飲むことを機内での楽しみのひとつとしている人も多いなか、旅客の飲みすぎを防ぐべく、CA(客室乗務員)はどのような対策を講じているのでしょうか。

健康リスクもある「機内での飲みすぎ」ANAのCAの対策は

 ANAによると、CAは乗客それぞれの飲酒量をおおむね把握しており、ほかのサービスを提供しながらも、度を過ぎて摂取しないようコントロールをしているそうです。また、利用者に「機内は酔いやすい」という声かけも、場合によっては行っているといいます。

 そして、アルコール類を頼むとおつまみ類が出てくるのは、もちろん「おもてなし」の意味合いもあるものの、「空腹状態でお酒を飲まないよう」という配慮からでもあるそうです。このほか度数の強いウィスキーなどを提供する際に必ずチェイサーを一緒に出す、お酒を頼まれた際には積極的にお水を一緒に出すといった対応を行っているとしています。

 また、機内という特殊な環境における度を過ぎたアルコール摂取は、最悪のケースとして旅行者血栓症、いわゆる「エコノミークラス症候群」を発生させる要因にもなりうるので注意が必要です。これは、長時間同じ体制をとることで血流が悪化し、血管の中に血のかたまりができ、それが立ち上がったときなどに血流にのって肺の血管に詰まるというものです。

 ANAによると、機内の環境は地上と比べて湿度が低いことが多いなか、利尿作用があるアルコール類を飲むと、脱水症状や血液粘度を上昇させる可能性が高くなるといいます。このことで、通常よりエコノミークラス症候群のリスクが高くなることもありうるので、利用者には量を控えめにする、あるいはお酒と同量以上の水を飲むよう心がけるよう呼び掛けています。