新型コロナの影響を受け、JALは名物のひとつである「格納庫見学」を休止中ですが、そのようななか、先端技術を用いた初のオンライン配信を実施。その裏話や今後の課題などを聞きました。

リモートだからこそリアルでは近付けない距離まで

 JAL(日本航空)が2020年6月28日(日)、羽田空港内のJALメンテナンスセンター(格納庫)で、「おうちで工場見学を楽しもう!! リモート社会科見学」の一環として格納庫見学のオンラインライブ配信を実施。こうした形での格納庫見学は、JALでは初といいます。

 JALは平時から一般を対象とした格納庫見学を定期的に実施しており、これは同社の名物のひとつにもなっています。しかし新型コロナウイルスの影響で現在は一時的に休止中です。そのようななか「今できること」としてこのライブ配信を実施したといいます。

 配信では、マイクロソフトのMR(複合現実)ヘッドセットレンズ「HoloLens 2」を着けた整備士の視線を通じ、さらに解説を交えてJAL機の整備の様子を見学できました。アプリ「Microsoft Teams ライブイベント」のダウンロードが必要ながら、特設ページから事前申し込みなどは必要なく、最大2万人が視聴できる体制を整えたとのことです。

 今回のライブ配信は、オンラインならではの特別仕様でした。平時は保安上の理由で機体から少し離れて見学しますが、今回は整備士がヘッドセットを着けることで、車輪など機体をパソコンやスマートフォン越しに間近に見ることができます。また、平時と同様に質問も受け付けており、アプリのQ&A機能を使って視聴者が質問を投げることもできました。

初の「JALリモート格納庫見学」その裏話を聞いた

 格納庫見学のガイド役を務めたJALのスタッフは、通常の格納庫見学でも案内役を担当したこともあるものの、初のオンライン開催ということもあり工夫があったと言います。

「通常であればお客様のお顔や表情を見て、ご年齢などに応じてご案内の方法を少し詳しくしたりできるのですが、オンラインの場合、直接お顔を見ることができません。そのため、できるだけお子様をはじめ皆様にとって『分かりやすく』なるようガイドし、どのような年代の人も楽しめるように、と心掛けました」(格納庫見学のガイド役を務めたJALのスタッフ)

 また、この企画の中心となったJALエンジニアリング技術企画室の谷内 亨さんによると、今後の課題のひとつとしては「電波状態」とも。ヘッドセットを着け、ガイド役のスタッフとともに案内を行った整備士によると、3D映像など多くの情報を届けられるぶん、通信に大きな負荷がかかってしまうと言います。今回も一部のコンテンツを、生放送の予定から事前収録の映像に変更するなど、配信まで苦労があったそうです。

 今回はマイクロソフトと、前日にオンライン工場見学を開催したキリンとの3社共同開催のため、今後このようなオンライン格納庫見学を行うか未定とのことですが、谷内さんは「実現するかはさておき、個人的な見解ですが」と前置きしたうえで、「コロナだけではなく、(羽田まで遠いといった)距離的な問題や年齢などの制約でなかなか現地での工場見学ができない方もいらっしゃいます。今後は通常のものに加えて、オンライン見学もできるようになれば」と話します。前述のガイド役を務めたJALのスタッフも報道陣に対し、同じように「オンライン格納庫見学」に前向きな発言をしています。