シンガポールで「世界最高のバス停」が話題。図書館や遊具、無料のスマホ充電器も!

シンガポールで「世界最高のバス停」が話題。図書館や遊具、無料のスマホ充電器も!



シンガポールに「世界最高のバス停」と呼ばれるバス停があることをご存知だろうか。各国の都市建設の専門家たちが口々に賞賛するバス停があるのは、シンガポールの銀座と呼ばれるオーチャードでもなければ、金融街のシェントンウェイでもない。その場所は、中心地から離れた南西部にあるジュロン・イースト地区だ。



「世界最高のバス停」とは?



スマート国家を目指すシンガポール政府は3年前、このジュロン・イースト地区をスマート・イノベーションのテストエリアに指定した。自動運転車や人の動きに応じて明るさを調整する街灯、一杯になるとセンサーが感知して回収のタイミングを知らせるゴミ箱など、この地区で様々なテストを行っている。



そんなジュロン・イースト地区にある、人呼んで「世界最高のバス停」。それは一体どんなものなのか?何が凄いのか?実際に足を運んでみた。



まず、目に留まったのが、携帯電話の充電ができる「チャージング・ステーション」。充電ケーブルが複数あり、バスの待ち時間を利用して充電が可能。もちろん、誰でも無料で利用できる。



「チャージング・ステーション」は、このバス停の数ある設備の中で利用者に一番人気のスポットだ。

「チャージング・ステーション」は、このバス停の数ある設備の中で利用者に一番人気のスポットだ。




バス停の中で最も大きなスペースを占めているのが、インタラクティブな「デジタル・ボード」。各バスの到着時間をリアルタイムで確認したり、目的地までの最速ルートを検索したりとトラベルプランナーとして活用できる。また、各地の天気や最新ニュース、ローカルイベントの案内など、必要な最新情報を選択し表示させることも可能。更に、QRコードをスキャンすれば、国立図書館から電子書籍のダウンロードまでできてしまう。幼児向けからビジネス本まで、幅広いジャンルの書籍がそろっているのも嬉しい。



様々な年齢層、ニーズに対応した電子書籍

様々な年齢層、ニーズに対応した電子書籍




気に入った本が見つかったら、QRコードをスキャンして簡単にダウンロードができる

気に入った本が見つかったら、QRコードをスキャンして簡単にダウンロードができる




エネルギー供給源は太陽光。とてもエコ



チャージング・ステーションやデジタル・ボードが設置されているとなると、気になるのが必要なエネルギーの供給源だ。ここでは環境に配慮し、各設備の運営に使用される電力は、ルーフトップに設置されたソーラーパネルで賄っている。更に、そのパネルの横にはプチ屋上庭園があり、オトギリソウ科の植物であるメンパットの木が植えられ、国を挙げて推進している屋上緑化に貢献している。メンパットは、3月頃に桜のような薄いピンク色の花を咲かせる東南アジア原産の落葉樹。プランターや土を軽量化することにより、当地では公園樹として知られる大型の木を育てることに成功した。



各設備の電力供給源となるソーラーパネルとメンパットの木が植えられたバス停の屋上部分

各設備の電力供給源となるソーラーパネルとメンパットの木が植えられたバス停の屋上部分




エコロジカルなアイディアは他にもある。ベンチの後ろにある「プランター・ウォール」と名付けられた植物のフェンス。風通しが良く、美しい緑が目にも優しいグリーンな間仕切りは、ガーデンシティらしい自然の産物だ。



シンガポールでは新しく建物を建設する際、緑化に関する一定の基準を遵守しなければならない。バス停の緑化ルールはまだないようだが、この実績により、今後当地におけるバス停の緑化も進んでいくことであろう。



緑化政策をはじめ再生可能エネルギーの利用拡大に取り組み、東南アジア随一のエコ国家を目指しているシンガポールでは、現在、公共交通機関と並び、自転車の利用拡大を図っている。10年前は街中で自転車に乗っていると奇異な目で見られたものだが、近年、移動に自転車を利用する人や趣味としてサイクリングを楽しむ人が急増。その流れを受けて、シェアサイクルも人気を集めている。このバス停でも、自転車で来た人のための駐輪スペースを完備している。



「バスを待つことが楽しくなるバス停」を目指したというこのバス停には、子どもに大人気のブランコもある。乗車予定のバスが到着してもブランコから降りたがらない子どももいるそうで、苦笑いする大人の姿も珍しくないんだとか。ローカルのイラストレーターによるアートワークや無料Wi-Fiなど、幅広い年齢層が活用できる設備が整っている。



特等席のブランコでバスを待つ女の子。

特等席のブランコでバスを待つ女の子。




「世界最高のバス停」は、まだまだ進化中?!



このバス停のアイデアは、当地の建築デザイン会社 DP Architectsの若手建築家グループの発案だ。「従来のバス停に想像力と画期的なデザイン、最新のテクノロジーをミックスし、楽しいソーシャルハブとなる未来型バス停のプロトタイプを作りたい」と政府に提案。都市再開発庁、情報通信開発庁、国家環境庁、陸上交通庁、国立図書館庁、国立公園管理局、土地管理局と、7つにも及ぶ政府機関と協力し実現させた。



もちろん、全てが計画通りに進んだわけではない。読み終わった本を自由に交換できる「シェア本棚」のコーナーは、需要と供給のバランスが保てず、更には熱帯気候特有の激しいスコールのため、本棚に置かれた書籍が濡れて破れてしまったりと様々な課題もある。



政府関係者は「より良い未来のための都市計画は、大変やりがいのある事業。シンガポーリアンのアイデンティティーを高めることにも繋がる」と力強く語る。しかし、このバス停はまだ完成形ではない。政府と民間企業、市民が力を力を合わせ、正真正銘の「世界最高のバス停」を生み出す日もそう遠くはないであろう。



「デジタル・ボード」と駐輪コーナー

「デジタル・ボード」と駐輪コーナー




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(文:田嶋麻里江 fromシンガポール)



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■取材国:シンガポール

田嶋 麻里江



東京出身。幼少期をシンガポールで過ごす。大学在学中よりヴァイオリニスト、ラジオDJとして活動。その後、オールアバウトの初代シンガポールガイドをきっかけに雑誌、WEBを中心に執筆を行う。著書に 『世界一の学力がつくシンガポール式算数ドリル 小学1〜6年 「バーモデル」で文章題にとことん強くなる!(平凡社)』『ポップ★トリップ シンガポール(ソフトバンククリエイティブ) 』。Global Press 会員。



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