運転手の時間外労働の規制が強化された「2024年問題」の影響で、山陰の運輸業界でも人材の確保が課題になっています。
担い手の確保に向けた取り組みの現場を松江市のタクシー会社で取材しました。

松江一畑交通・島根源太さん:
「車の運転が前から好きです。遠くにドライブに行ったりします」

ハンドルを握るのは乗務歴半年ほどの新人ドライバー・島根源太さん。
松江生まれ、松江育ちの20歳。
休日には、友人とドライブに出かけるという大の車好きです。
高校卒業後、一度就職しましたが、2023年11月、この会社に転職しました。

なぜ、タクシー業界に転職したのかというと…。

松江一畑交通・島根源太さん:
「仕事中一人でできるのと、なんか意外と給料がいいみたいなのを聞いたので…。会社の中で一緒にする感じよりは一人で(仕事)するほうがちょっと得意というか、好きです」

一番の理由は勤務中、1人だから!1人が気楽だから…とはなんともユニークな理由です。
そんな島根さん、営業用のタクシーやバスを運転するために必要な「2種免許」の要件が緩和されたことで、20歳で免許を取得できました。

以前は「21歳以上、1種免許取得後、通算3年以上の運転経験」が必要でしたが、運転手の人材確保を図るため、2022年、条件が緩和。
「19歳以上、運転経験1年以上」で2種免許が取れるようになりました。

条件の緩和を受けて、島根県内では20代・30代の2種免許取得者も増加傾向で、平均年齢60代と高齢化が進む運転手の若返りにつながると期待されています。

一方、タクシー会社も運転手不足の解消にむけて、きつい、厳しい職場環境というイメージを払拭しようと待遇や働く環境の改善に積極的に取り組んでいます。

松江一畑交通・立脇等社長(脇は旧字):
「(たとえば)計画的にタクシーをいい車を導入してお客さんにもタクシーの運転手さんにも乗りやすい車を購入していく。(最新の)設備投資をすることでやっぱり乗務員さんが入ってくるのでプラスになると思います」

松江一畑交通では「2024年問題」に備え、4年ほど前から取り組みに着手。
例えば、勤務と次の勤務の間隔、「勤務間インターバル」を見直し、13時間を確保。
4月に改正された基準の最低9時間、努力義務11時間を上回る水準です。
正社員の場合、原則、夕方勤務2日、非番、早朝勤務2日、公休の4パターンをローテーション、このインターバルを守っています。

こうした取り組みと並行して、人材確保の一策として期待されているのが女性ドライバーです。
島根さんの同僚、河村真理子さん。
ドライバー歴は20年、勤務シフトを工夫しながら乗務を続けてきました。
全国的で約1万人、山陰両県でも増えつつある女性ドライバーの草分け的存在です。

松江一畑交通・河村真理子さん:
「休憩時間とか使って参観日とか行っていました」

タクシードライバーならではの働き方を生かし、仕事と子育てを両立させてきたそうです。
会社側も女性専用の休憩室や更衣室を用意するなど、女性も働きやすい職場づくりを進めてきました。

いまでは「ベテラン」の河村さん。
買い物や通院で利用する高齢者からの「指名」も少なくなく、売り上げも上位。
会社にとって貴重な戦力です。

松江一畑交通・河村真理子さん:
「(入社当初は)22〜23万くらいだと思います。今平均というか、いいときで50万円くらいです」

さて、新人の島根さん…。
入社から半年あまり、「気楽な1人仕事」にも慣れ、多い月には55万円を売り上げるなど先輩も負けない戦力になっているようです。

Q、会社期待の星ですか?
松江一畑交通・立脇等社長(脇は旧字):
「期待ですね。将来的にはバスも両方乗っていただくように考えています」

Q、今後の目標は?
松江一畑交通・島根源太さん:
「(会社の)期待に応えて会社に貢献するのと、地元のお客さんに感謝されるようなドライバーになれたらと思っています」

高齢化が進む山陰でも、地域の移動の足としての役割が増す公共交通。
担い手の確保へ模索が続きます。