アメリカ欧州軍の司令官がウクライナ北東部のハルキウ州に攻勢を強めるロシア軍について「戦略的に突破口を開く能力や技術はない」と述べました。

アメリカ欧州軍 クリストファー・カボリ司令官
「(ロシア軍は)戦略的優位に立つための突破口を開くのに必要な規模の技術や能力がない」

 カボリ司令官は16日、ウクライナのハルキウ州周辺の国境地帯で攻勢を強めるロシア軍は局地的に前進をする能力はあるが、同時に局地的な損失を出していると指摘しました。

 また、大量の弾薬、防空システムや装甲車をウクライナに輸送中だと強調しています。

 一方、アメリカのシンクタンク戦争研究所は16日、ウクライナ軍がハルキウ州でロシア軍の攻勢を抑え、安定した状況を確保しつつあると指摘しました。

 ロシア軍の勢いは低下しつつあるとしていますが、翼を備えグライダーのように落下する滑空爆弾を使って、ウクライナの防衛力を削っていると分析しています。

 滑空爆弾は、通常の爆弾より遠方にある標的を爆撃できる誘導装置付きの小型の爆弾で、射程距離はおよそ60キロです。

 ロシア軍は、領空から発射することで、反撃のリスクを避けているということです。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、16日、アメリカABCニュースのインタビューで「必要なのは2基の地対空ミサイルシステム『パトリオット』だ」と発言していて、ロシアの領空への攻撃能力を求めているとみられています。