15日に飛び込んできたうれしいニュース、芥川賞に福岡市出身の古川真人さんの作品が選ばれました。

古川さんの人柄、そして気になる受賞作の魅力に迫ります。

「第162回芥川龍之介賞は古川真人さんの『背高泡立草』1作と決まりました」

15日、純文学の新人に贈られる芥川賞に、福岡市出身の31歳、古川真人さんの作品が選ばれました。

【古川真人】
「いざとるとやっぱりマジかよっていうか、困ったなぁという」

「おれはこれからどうなっちゃうんだろうとか、そういうのが率直に浮かんだ気持ち」

受賞作「背高泡立草」は、主人公の女性が母親の実家がある長崎の島を訪ねる物語。

そこでの草刈りの様子を方言を交えて描く中で、「島の歴史」や「家族の記憶」が徐々にひもとかれていきます。

【選考委員 島田雅彦さん】
「その土地に根付いている歴史的な重層性を非常に巧みにすくい上げていて、単調な草刈りという作業の合間を時空を超えたエピソードを織り込むと」

小説の舞台のモデルとなったとみられているのは、長崎県平戸市の的山大島です。

この島に住む古川さんの祖母・内田玲子さんは、吉報に胸を躍らせました。

【古川さんの祖母・内田玲子さん】
「まあ夢みたいで何がどうなっているやら…」

タイトルにもなった背高泡立草は、かつて、いりこを作っていた場所に生えていて、それを島の人たちが刈る姿を幼い古川さんが覚えていたのではないかと思いをはせます。

【祖母・内田玲子さん】
「(古川さんに)ありがとうと言いたい。あんたのお陰で大島のことが知れ渡ってうれしいですと」

2016年のデビューから、自らのルーツでもある島の話にこだわった古川さん。

その頑固さは高校時代に『長所』として育まれたものでした。

【高校時代の恩師 森山由実さん】
「彼はだいたいここらへんで、はじっこの方で黙々と書いていました」

「書くときの服装も決まってて、その服装に着替えて書くというスタイルだったんですよね」

高校の文芸サークルで古川さんを指導していた、恩師の森山由実さん。

その才能をいち早く見いだし、応援してきた1人です。

「指導と言うよりも見守り」

「すごいくせのある文体なんです、でもそれが非常にいいから『人からなんと言われても、絶対この文体を変えてはいけない』という話はしたんですよ、とにかくこれでいきない、あなたのよさはここなんだからいきなさいと」

当時の貴重な作品が残っています。

タイトルは「汗」。

「働くことはいかなることか」がテーマです。

「少なくとも働いて得るものは金以外にないというのが彼等を支配している考えであり、それが亦一般の考えでもあるように多くの大人が語っている。しかしこうも思う。只働いて、汗を流し、それで金を得るということに彼等は無感動でいられるのだろうか。」

当時はライトノベルの全盛期でしたが、作風を一切曲げることなく、この作品で全国高校生創作コンクール短編小説部門で最優秀賞を受賞しました。

「(当時、審査員に)『いちばん文章が下手なんだけれども、何回も読んでいくとすごく味わいが出てきて、本人にしか書けない文章だ』と言って頂いた」

「今回受賞した作品が、一番高校生の時に書いていた作品に近いんです」

こうなると、受賞作を早く読みたい!

しかし、まだ書籍化されていないため、作品が掲載されていた文芸誌「すばる」を探しました。

【記者】
「まだ書籍化されていないので、雑誌すばるでしか読めないんですが・・・ありました!雑誌すばる!」

「ですが・・・2月号。最新号です」

店頭にあったのは最新号。

掲載されていたのは10月号ですが・・・

【TSUTAYA マークイズ福岡ももち店 石田ひかりさん】
「Q.読みたいんですが10月号は?」

「10月号はバックナンバーになるので、ないんですよ」

文芸誌は翌月には最新号と入れ替えられるため、なかなか手に入らないのです。

福岡市内の書店を探しましたが、見つけることはできませんでした。

【MARUZEN 博多店 徳永圭子さん】
「単行本になるのが1月24日と間近なので、雑誌の増刷というのはないと思いますので」

「予約を承っているところです」

「ぜひ福岡の人にも読んでいただきたい」

残念ながら受賞作が読めるまでにはもうしばらく時間が掛かりそうですが、こちらの店では過去の作品の売り上げが伸びているということです。

【古川真人さん】
「やはり島から出てみたい」

「自分にとって不慣れなものというか、自分にとって全く未知の他者が現れるようなものを書いていくことにしようと思っております」

すでに次回作への意欲を見せている古川さん。

福岡が生んだ文学界の新星の活躍に、今後も目が離せません。