【六川亨の日本サッカー見聞録】殿堂掲額の特別表彰は意外な大先輩

【六川亨の日本サッカー見聞録】殿堂掲額の特別表彰は意外な大先輩

今年もまた、日本サッカーの殿堂に掲額する功労者の選考があり、特別選考で2名の方が選出された。一人は元日本代表の監督である加茂周さん、もう一人はカメラマンの今井恭司さんだ。

投票選考では、藤和不動産やフジタ工業などで活躍したFW渡辺三男さん、藤枝東高や早稲田大と名門コースを歩み、釜本二世と期待された日立のFW碓氷博行さん、古河や日本代表でキャプテンを務め、現在は東京国際大学サッカー部監督のMF前田秀樹さん、三菱と日本代表でゴールを死守したGK田口光久さん、読売クラブやヴェルディ川崎でプレーし、引退後はJFAの強化委員長も務めたDF加藤久さん、そして「ドーハの悲劇」でW杯出場を逃したMFラモス瑠偉さんの6人が候補者に選ばれた。

しかしながら150人の投票の結果、75%以上の得票を得た候補者がいなかったために、投票部門の掲額者は見送られることになった。トップの加藤久さんは111票を集めて74%の得票だったものの、あと1%足りなかったのは残念なところ。しかし、得票率10%以上の候補者は次回以降3回まで候補者名簿に残るため、加藤久さんとラモス瑠偉さん、碓氷博行さん、前田秀樹さんは来年以降も掲額される可能性がある。

その一方で、今回は10%に届かなかった田口光久さんと渡辺三男さんは、投票選考の対象外となり、今後は特別選考で選ばれない限り掲額される可能性はなくなった。なんとも厳しいルールでもある。

加茂周さんの特別選考は、ちょっと意外だった。というのも、日産自動車の黄金時代を築き、日本人指導者として初のプロ監督になるなど、長きに渡って日本サッカーを牽引してきた功労者でもあるからだ。もっと早くに殿堂入りしてもおかしくないと思ったからだ。これまでの掲額者は、どちらかというと選手としての実績が評価の対象だったため、見落とされていたのかもしれない。

もう一人の今井恭司さんも意外だった。カメラマンが掲額されるのは初めてのこと。これまでメディア関係者では新聞記者の大谷四郎さん、賀川浩さん、牛木素吉郎さん、共同通信者の奈良原武士さん、アナウンサーの金子勝彦さんの5人しかいなかった。

記者なら署名原稿を書くこともあるので氏名が認知されやすいかもしれないが、カメラマンになると、作品と名前がなかなか一致せず、認知度も低いだろう。そうした対象者にもスポットライトを当てた今回の特別選考は、掲額対象者の枠を拡大する意味でも意義深いものがあると思う。

今後は、例えば漫画家の故・望月三起也さん(ワイルド7などの作者で熱烈な三菱&浦和ファン)や、高橋陽一さん(言わずと知れたキャプテン翼の作者。まだ57歳のため資格はない)らも、サッカーの知名度アップに貢献しただけに、候補者にしてはいかがだろうか。

サッカーは、選手が主役だ。しかし、選手だけでプロリーグは成り立たないし、それは日本代表の隆盛にも当てはまるだろう。日本サッカーの発展・熟成に貢献した功労者は数多い。少年団を創設して地域のコミュニティ発展に寄与した指導者、中学・高校サッカーで代表選手を輩出した名監督、医療や審判など裏方で尽力している方々など、例を挙げればきりがない。

殿堂掲額は「ステイタス」ではなく、「感謝」を捧げる場であって欲しい。そのためには、得票率10%以上という「足切り」はなくし、候補者枠を広げるべきではないだろうか。


【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。

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