【原ゆみこのマドリッド】選手が同じだとこうなる…

【原ゆみこのマドリッド】選手が同じだとこうなる…

「あまり実のある勝利じゃなかったかも」そんな風に私が素直に喜べなかったのは早起きしてブタルケに駆けつけた土曜日、アトレティコのプレシーズン最後の親善試合、レガネス戦が終わった時のことでした。いやあ、もちろんマドリッドの弟分チームを0-1で退け、この夏にこなした5試合で無敗を貫いたのはいいことなんですけどね。その日、後半21分にゴールを挙げたのはアトレティコBのファン・モレノ。加えてフベニル(Bチームの下のカテゴリー)から、21世紀生まれのFW、16歳のビクトル・モジェホがトップチームデビューしたなんて微笑ましい出来事もあったものの、開幕後、コパ・デル・レイ初戦以外で彼らを大人の試合のピッチで見ることが一体、何回あるというのでしょう。

うーん、午前10時30分からという、珍しい時間帯に試合を組まれた上、昼食後はトレド(マドリッドから1時間の世界遺産都市)に移動して、午後8時から当地の2部Bチームとの対戦。まったく意味不明の強行軍でプレシーズンマッチの最後を飾ることになったアシエル・ガリターノ監督など、「Estoy contento, se lo pusimos dificil al Atletico/エストイ・コンテントー、セ・ロ・プシモス・デフィシル・アル・アトレティコ(アトレティコを手こずらせたんだから、私は満足だ)」と言っていましたけどね。レガネス側としても、リーガ1節は出場停止となるゴディンとU21ユーロ参加で練習開始が遅れたサウル以外、控えとカンテラーノ(下部組織の選手)で構成されたアトレティコに負けてしまったのはあまり、士気が上がる理由にはならないかと。

だからって、夜のトレド戦で3-0と格下チームに惨敗した言い訳にはなりませんが、彼らには今季、2年目となる1部での戦いを前に選手がかなり入れ替わっているという事情がなきにしもあらず。逆にFIFA処分でこの夏、戦力補強ができないアトレティコはレギュラーと控えの区分けもあまり変わっていないんですが、丁度、12時間前に終わったもう1つの弟分、ヘタフェとの対戦ではその主力組が昨季とまったく同じ欠点を露呈してしまったから、頭の痛いことと言ったら、もう。そう、エル・パイスのアトレティコ番記者も、「シュートパス交換を頻繁に繰り返しても選手の動きが乏しいため、それに意味が与えられない。たまに誰かがスペースに抜け出すことができた際にはパスの精度が欠けがち」と分析していたんですが、要は決定的なラストパスが出せなくて、ゴールチャンスにまでならないんですよ。

え、得点力不足に悩みそうなのはヘタフェも同じじゃないかって?そうですね、今週はまず、水曜に2部のマドリッド勢アルコルコンとサント・ドミンゴで顔を合わせた彼らだったんですが、何と前半3分にはノノのヘッドで、後半7分にもアルバロ・ペーニャのエリア外からの弾丸シュートで2点をリードされ、先日のアトレティコ・バレアレス(2部B)との練習試合同様、守備での課題を浮き彫りにすることに。それでも11分にはチュリが見事なvaselina(バセリーナ/ループシュート)で1点を返したものの、その後、アルコルコンのファンたちからも「Gaku, Gaku」としきりに呼ばれていた柴崎岳選手を始め、その他4人の選手がリフレッシュに入りながら、結局、同点に追いつくことはできなかったですけどね。

ただ、その日のボルダラス監督は金曜に迎えるアトレティコとの対戦をすでに見据えていたようで、翌日はまたしてもシュダッド・デポルティバ(練習場)で2時間のハードトレーニングを実施。1部復帰に備え、シートをより鮮やかな青に塗り直し、芝も新しくなったコリセウム・アルフォンソ・ペレスでの新チーム、お目見え試合ではかなり張り切って、アスレティックの開幕戦に並んでも不思議のないメンンバーを先発させています。そう、CFはエースのホルヘ・モリーナ、2列目にアルバロ・ヒメネス、パチェコ、そしてトップ下に柴崎選手という布陣だったんですが…。

アトレティコも前半、グリースマンの放ったvolea(ボレア/ボレーシュート)が惜しくも外れてしまったり、後半41分にはこのプレシーズン、チームの救世主になっていたフェルナンド・トーレスがゴール前から真上に撃ち上げてしまう始末で、どうしてもゴールを奪えず。そのせいか、シメオネ監督もせっかくアップさせていたカンテラーノたちを投入することもなく、この夏、初めて国内でプレーする彼らをその日は近場なこともあって、応援に駆けつけたアトレティコファンが「Ole, ole, ole! Ole Cholo Simeone!(オレ・チョロ・シメオネ)」とカンティコ(節のついたシュプレヒコール)を合唱する中、まるで罰ゲームのように先発した11人を最後までプレーさせることに。

対するヘタフェもボールを持たれっぱなしだった前半を改め、後半は少し、上向きになったものの、得点するまでには至らず。ええ、柴崎選手もシュートを3回程、スルーパスも何度も試みていたんですけどね。後でボルダラス監督も「Quiza el ultimo pase le ha faltado que el destino fuera el correcto/キサ・エル・ウルティモ・パセ・ラ・ラルタードー・ケ・エル・デスティーノ・フエラ・エル・コレクト(方向は正しかったけど、ラストパスが欠けていたかもね)」と言っていたように、チームメートにタイミング良く受けてもらうことはできませんでしたっけ。

それでも途中交代した時には観客から大きな拍手をもらっていましたし、監督も「Es muy generoso, ha trabajado bien sin balon, es un jugador que tiene futbol en las botas/エス・ムイ・ヘネローソ、ア・トラバハードー・ビエン・シン・バロン、エス・ウン・フガドール・ケ・ティエネ・フトボル・エン・ラス・ボタス(彼はとても心が広い。ボールを持たない時もよく働いた。シューズにサッカーが詰まっている選手だね)」と彼を称賛。顔なじみのAS(スペインのスポーツ紙)のヘタフェ番記者も「きっと開幕のアスレティック戦ではスタメンだよ」とお墨付きをくれたため、20日はサン・マメスのピッチでその雄姿が見られるのを期待してもいいかと。実際、昇格組のヘタフェにとって、この試合、残留が目標の今季、ヨーロッパの大会に出場するチームとスコアレスでも引き分けたというのは、リーガなら勝ち点1なのですから、十分な成果だったと言えるかもしれません。

翻って心配なのはアトレティコで、試合後ミックスゾーンに出て来たヒメネスなども「Tenemos ocasiones pero nos falta muy poquito para meterlas/テネモス・オカシオネス・ペロ・ノス・ファルタ・ムイ・ポキート・パラ・メテールラス(ウチはチャンスを作ったけど、ゴールに入れまでが少し足りなかった)。来週のジローナ戦に向けて精度を上げないと」と認めていましたけどね。現実問題、決定力を上げてもらいたいのはゴディンの代わりに開幕戦先発となりそうなCBではなく、FW陣なんですが、うーん、実は土曜のレガネス戦でもビエットが最高のカウンターから、GKクェジェルとの1対1を見事に失敗。

このままだと、彼もサントス・ボレ(リベル・プレートに移籍)、クラネビテル(同ゼニト)、そして前日、ヘタフェに河岸を変え、昨季のテネリフェ(2部)に引き続き、柴崎選手の同僚となったアマトらの後を追って、ワンダ・メトロポリータノのピッチを踏めないことになりそうですが…とにかく、昇格組だったアラベスと0-0で引き分けて始まった昨季の轍だけは踏んでもらいたくないところです。

え、マドリッドの3チームは土曜の夜、アルバセテ(2部)に2-1で負けてしまったヘタフェを含め(柴崎選手は途中出場)、これで全ての親善試合を終え、あとはリーガ1節を指折り数えて待てばいいだけだけど、すでに公式戦モードに入っているレアル・マドリーはどうしているのかって?いやあ、スペインU21代表選手を中心にこの夏は補強したためか、お隣さん同様、昨季とほとんど変わらないメンバーでプレーしている彼らですが、あっちはCL、リーガのドブレテ(二冠優勝のこと)達成のチームですからね。火曜には、そのカーディフでのCL決勝ユベントス戦からクリスチターノ・ロナウドとベイルをスタメンで入れ替えただけのメンツで、マンチェスター・ユナイテッドをUEFAスーパーカップで圧倒。

前半23分にはカルバハルのクロスをカセミロが決め、いえ、モウリーニョ監督は「Es fuera de juego. Y con el VAR no seria gol/エス・フエラ・デ・フエゴ。イ・コン・エル・バル・ノー・セリア・ゴル(あれはオフサイドだったし、VAR/ビデオ・アシスタント・レフェリーがあればゴールにならなかったろう)」と後で文句を言っていましたけどね。これで先制したマドリーは後半6分にもベイルとのワンツーで抜け出したイスコが2点目をゲット。マラガにいた4年前、「いい選手だが、そんなに素早くないし、体に対して頭が大きすぎる」という奇妙な理由で獲得を自粛したユナイテッドにきつい一発を入れることに。その後は相手もルカクのゴールで追いすがったものの、2-1でマドリーの快勝です。ええ、終盤にはまだチーム合流から2セッションしかこなしていなかったロナウドもピッチに入りましたが、あまりその必要性もなかったような。

よって、同様にアメリカでのインターナショナル・チャンピオンズカップでは負けていたバルサが相手となる次のスペイン・スーパーカップもそれ程、心配することはなさそうに見えるんですが、唯一、気になるのはモウリーニョ監督も「Los centrocampistas del Madrid son unicos, no hay replica de Modric, Kroos, Casemiro o Isco/ロス・セントロカンピスタス・デル・マドリッド・ソン・ウニコス、ノー・アイ・レプリカ・デ・モドリッチ、クロース、カセミロ・オ・イスコ(マドリーのMF陣は他にないものだ。モドリッチ、クロース、カセミロ、イスコの複製はいない)」とベタ褒めしていたうちの1人、モドリッチがカンプ・ノウでの1stレグに出場停止となること。

原因は3年前、今のところアトレティコ最後のタイトルとなっている2014年のスペイン・スーパーカップ2ndレグで退場したためですが、それ以来、マドリーもこの大会に出場していなかったのは結構、意外に感じる向きも多いかと。ちなみに前日記者会見で3年間の契約延長を公けにしたジダン監督は再び、「fisicamente ha trabajado muchisimo y esta listo/フィシカメンテ・ア・トラバハードー・ムチシモ・イ・エスタ・リストー(フィジカル的に沢山、トレーニングしているし、プレーする用意は整っている)」とロナウドの先発起用を示唆していましたが、世間一般ではこの試合でもベンチスタートでフル出場はなしとの見方が主流。昨季もローテーションで入るたびにいいプレーを見せたクロアチア人の後輩、コバチッチを入れ、イスコをキープした4-4-2でいくんじゃないかと言われていますが、アセンシオやセバージョスら、オプションも多いだけに、スタメンは当日のお楽しみでいいんじゃないですかね。

一方、先週、ネイマールを史上最高の2億2200万ユーロ(約286億円)でPSGに売ったはいいものの、おかげで移籍市場が超インフレに突入。デンベレ(ドルトムント)やコウチーニョ(リバプール)を獲りたくても相手に足元見られ、値段が1億4000万ユーロ(約180億円)だの、1億2000万ユーロ(約155億円)だのに跳ね上がってしまい、なかなか実現できていない相手のバルサなんですが、それでもあちらにはメッシ、ルイス・スアレスという最強のゴール量産コンビがいますからね。月曜にはガンペル杯でシャペコエンセに5-0と大勝もしているせいですか、いよいよクラシコ(伝統の一戦)スペイン・スーパーカップ版が近づいてきても、あまり試合に関する話が出てこないのが不思議なところ。

何せ、この対戦でネイマールの代理を務めると言われているデウロフェウですら、今季本当にチームに残るのか、確定していない状態ですからね。UEFAスーパーカップで優勝したマドリーを当日、彼らがピッチで花道を作って迎えるかどうかという議論を別にすれば、人事関係の取り沙汰ばかりが耳に入ってくるですが、それでもトロフィーはトロフィー。「No me cansare nunca de ganar y levantar trofeos/ノー・メ・カンサレ・ヌンカ・デ・ガナール・イ・レバンタール・トロフェオス(勝つこととトロフィーを掲げることには決して飽きない)」というセルヒオ・ラモスを筆頭に、どちらも本気の白熱した戦いが見られるのは間違いないかと。そんなスペイン・スーパーカップ1stレグは日曜午後10時(日本時間翌午前6時)キックオフ。まずは両者のお手並み拝見といきましょうか。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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