悩みはあんまり変わってない…/原ゆみこのマドリッド

悩みはあんまり変わってない…/原ゆみこのマドリッド

「何かいたたまれないわよね」そんな風に私が同情していたのは月曜日、レアル・マドリーのインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(夏の国際親善大会)2試合目、アーセナル戦の会場となるフェデックス・フィールドで練習しているベイルの映像をお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、プレシーズン開始前から、彼が放出確定と見なされていたのは本当ですけどね。パルコ(貴賓席)観戦となった土曜のバイエルン戦の後、ジダン監督が「プレーしなかったのはクラブが移籍先を探しているから」と説明したまでは良かったものの、「Y si se puede ir manana mismo, mejor/イ・シー・セ・プエデ・イル・マニャーナ・ミスモ、メホール(明日にでも出ていけるなら、その方がいい)」って、ちょっとお、それってあまりに冷たくない?

続けて「自分は個人的にベイルに何の含みもないが、改革の時が来た。退団は監督の決断であり、選手の決断でもある。彼は状況をわかっているよ」と言っていたものの、現在、中国のクラブやトッテナムなどと交渉中の代理人が話をまとめるまで、さらし者のようにチームと一緒に練習をしないといけないとは、これ如何に。だってえ、同じ放出候補で、やはりバイエルン戦では出場機会のなかったマリアーノなど、監督に名指しで何も言われていないため、肩身の狭い思いをする必要はないんですよ。

U21ユーロに出場したため、ようやくこの月曜に練習を始めた同じ身分のバジェホ、マジョラル(昨季はレバンテにレンタル)はコパ・アメリカ帰りのバルベルデと共にラウール監督の指揮するRMカスティージャがバルデベバス(バラハス空港の近く)で始めたプレシーズン練習に合流し、アーセナルだか、トッテナムだか、すでにレンタル先を吟味中のセバージョスに至っては決まるまでバケーションを延長。ハメス・ロドリゲス(2年間、バイエルンにレンタル)も7月末のチーム合流期日が来る前にお隣さんでも何でもいいから、移籍先を決めろと言われているとか。

となると、ベイルだけが貧乏クジを引いて、悪目立ちしているみたいですが、まったく。実際、少しでも高く売るためにはプレシーズンマッチに出して、活躍してもらう方がいい戦略なのにという声も聞こえますからね。とにかく、このイヤな雰囲気だけは一刻も早く解消してもらえると、ファンにとってもありがたいと思うんですが…。

まあ、そんなことはともかく、先週末の土曜はマドリッドの4チームが揃って親善試合を開催。といっても私が現地観戦できたのは再び朝9時から、レガネスがシュダッド・デポルティバ・ブタルケに今季から2部の弟分仲間に加わったフエンラブラダを迎えたゲームだけだったんですけどね。初戦は昨季2部に降格したラージョと2-2で分けた彼らだったものの、この日は前半にサビン・メリーノと、フエンラブラダと入れ違いで2部Bに戻ってしまったラージョ・マハダオンダ(ラージョ・バジェカーノとは別のクラブ)から入団したFWルイバルのゴールでリードすると、後半も敵の反撃を許さず、そのまま2-0でこのプレシーズン初勝利をゲット。

実はこの試合では現在、フエンラブラダでテスト期間を過ごしている、サガン鳥栖でフェルナンド・トーレスの同僚だった加藤恒平選手のプレーなども見ることができたんですが、その辺の詳細は別の記事(https://bit.ly/2Z7P72q)で読んでもらうことにして、今はレガネス中心に話を進めると。今週の彼らは月曜からモロッコのタンジュに移動。あちらでキャンプを行うと共に水曜にはラジャ・カサブランカと、土曜にはイティハッド・タンジュとの親善試合に挑むことに。

どうやらこの間にアフリカ・ネイションズカップのモロッコ代表に参加していたエン・ネスリに戻ってもらおうという思惑もあるようですが、確かにブライトバイテ(ミドルスブラに帰還)とカリージョ(同サザンプトン)がいなくなった前線はちょっと寂しいですからね。昨季、頭角を現した22歳にはあと1シーズンぐらいはレガネスで頑張って、もっともっと移籍金を釣り上げてもらいたいところですが、さて。地元密着型の彼らにはモロッコから戻った後、来週水曜にはまた午前9時30分から、3つ目のマドリッド2部チーム、アルコルコンとの練習試合があるため、その頃、マドリッド観光の予定があるファンはチェックしておくといいかもしれませんよ。

そして土曜の午後7時には、まだ日が燦々と輝くブルゴス・デ・オスナで地獄のLAキャンプを打ち上げたアトレティコが2部のヌマンシアとヘスス・ヒル・ヒル杯で対戦。何故か、前日には今季の黒い第2ユニフォームをお披露目しながら、昨季の第3ユニでピッチに現れた先発メンバーの半分、5人がこの夏、入団したばかりの選手となれば、期待も高まるというものです。ジョアン・フェリックス(ベンフィカから移籍)、マルコス・ジョレンテ(同マドリー)、エルモーソ(同エスパニョール)、ロディ(同パラナエンセ)、トリッピアー(同トッテナム)らが果たしてどんなプレーをするのか、私も興味津々で見ていたところ…。

いやあ、確かに移籍金1憶2600万ユーロ(約153億円)という大盤振る舞いをしただけあるというか、19歳と若いながら、ジョアンって、どこか違いますね。敵DFの間をするりとすり抜けてしまうし、ボールも失くさないし、いいところにパスを出せるとあって、今までのアトレティコにはなかった才能の持ち主かも。ただ、残念だったのは前半27分、腰を打撲して、コレアに代わってしまったことで、実はジョアンのスルーパスからジエゴ・コスタがシュートチャンスを迎えても倒されてしまい、しかもペナルティも取ってもらえないなんて不運もあったんですけどね。加えてモラタも相変わらず、シュート精度が悪いわ、ハーフタイム入り間際にコレアの放った一撃もゴールポストに弾かれてしまうといった具合で結局、前半の彼らは無得点で終わることに。

後半はコレア以外、選手が総入れ替えとなったんですが、それが驚いたことに23分にはカンテラーノ(アトレティコBの選手)のリケルメのクロスを低い位置でビトロがヘッドして先制点を奪うと、32分にはマヌ・サンチェスのラストパスを、こちらは将来を買われて入団した21歳のサポンジッチ(ベンフィカから移籍)がゴール前から押し込んで2点目をゲット。おまけに38分には敵GKにクリアされたボールをエレラ(同ポルト)、カメージョと繋いで最後はフェリペ(同ポルト)がゴールって、この日の先発でサビッチとCBコンビを組んだのはエルモーソだったものの、その前のCKでも強烈ヘッドをparadon(パラドン/スーパーセーブ)されていたとなれば、ゴディン(インテルへ移籍)の後継者争いを彼が制するのも夢じゃない?

いえ、セットプレーからのゴールはまだ、コパ・アメリカ参加後のバケーション中のヒメネスも得意とするところですし、大体、CBのレギュラーが得点力で決まる訳もないんですけどね。私がそんな莫迦なことを考えてしまったのは相変わらず、モラタもジエゴ・コスタも点を入れるのに苦労していたからで、最後は0-3の快勝だったとはいえ、後半の控え組、放出候補、そしてカンテラーノの混成チームで達成したgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)を果たして喜んでいいものかどうか。

といっても先日、昨季の背番号23をトリッピアーがプレゼンで着けていたため、てっきり移籍かと思っていたビトロなど、新たに20番を着けて、「Estoy ilusionado y tengo muchas ganas de triunfar aqui/エストイ・イルシオナードー・イ・テンゴ・ムーチャス・ガナス・デ・トリウンファール・アキー(自分は希望に燃えているし、ここで勝利する意欲でいっぱいだ)」と残留アピールをしていましたけどね。実際、本当にコレアが5000万ユーロ(約61億円)で売れて、予算4000万ユーロ(約49億円)前後のハメス・ロドリゲスなどが入ってきたら、出番がもらえるのかは微妙。

ええ、現在、ポジション争いがかなり熾烈になっており、この日は太ももに痛みがあったため、出場せず。キャプテン権限でちゃっかりトロフィーだけもらっていたコケなども同様かと思いますが、もう1つの懸念は21歳のロディだけとなってしまった左SB。というのも翌日曜、ワンダ・メトロポリターノでフィリペ・ルイスのお別れ会見があり、もうアトレティコではプレーしないことが正式に発表されたんですよ。会場がいつものプレス・コンファレンスルームでなかったのはその日、スタジアムがエホバの証人の集会に使われていたせいで、他意はなかったようですが、小さいホールでのセレモニーには自身の就任当時からいたベテランの最後の挨拶に駆けつけたシメオネ監督始め、コケ、サウール、オブラク、サビッチ、モラタらの姿も。

ちなみに次は母国のフラメンゴでプレーすると言われているフィリペ・ルイスは「Soy un privilegiado, vivi la mejor etapa de este club, soy muy afortunado/ソイ・ウン・プレビレヒアードー、ビビ・ラ・メホール・エタパ・デ・エステ・クルブ、ソイ・ムイ・アフォルトゥナードー(自分は恵まれている。このクラブの最高の時代を生きられて、とても運がいい)」と並んだトロフィーの前で話していましたが、いやいや。ここまで奮発して戦力補強をしたんですから、この先はもっともっといい時代を迎えてくれないと。月曜には移籍が決まるのを待っているカリニッチだけを残し、アメリカに向けて出発したチームですが、まずは水曜午前3時(日本時間午前11時)からのチバス・グアルダラハラ戦を皮切りにマドリー、MLSオールスターと対戦するこのインターナショナル・チャンピオンズ・カップの試合で新生アトレティコの強さを披露できたらいいですよね。

え、それで夜中の2時に始まったマドリーのバイエルン戦はどうだったのかって?うーん、この夏は同じように何人も補強をした彼らだったんですが、ジダン監督はお隣さんとは真逆で先発に抜擢された新顔はアザール(チェルシーから移籍)だけ。他はお馴染みのメンバーでスタートしたんですが、前半15分にはトリソのシュートを1度は背番号を13に変えたGKクルトワが弾いたものの、2度目のトライでゴールにされてしまうことに。FWがベンゼマだけだったのもマズかったか、GKノイアーにも阻まれて、その1点を返せずに前半は終了。

後半には11人全員を代え、CFのヨビッチ(フランクフルトから移籍)を始め、ロドリゴ(同サントス)、メンディ(同オリンピック・リヨン)、そして久保建英選手もマドリーデビューとなったんですが、またしても得点したのはバイエルンの方でした。ええ、24分にはズーレのロングパスを受けたレバンドフスキが貫禄の2点目を挙げると、その2分後にもナチョのパスミスを起点にナブリが3点目って、もしやこの新生マドリーって守備が弱い?うーん、39分にはロドリゴが見事な直接FKを決めて一矢を報いたものの、彼も自分で「Para Vini y para mi Marcelo es como nuestro papa/パラ・ビニ・イ・パラ・ミー・マルセロ・エス・コモ・ヌエストロ・パパ(ビニシウスにもボクにもマルセロはパパみたいなもの)」と言っていたぐらいの、ティーンエイジャーですからね。

まだ、今季はRMカスティージャでプレーするか、レンタルに出るか、方針も決まっていないため、どこまで頼りにしていいのかわからないんですが、3-1の敗戦でスタートしたのはちょっと期待外れ。いえ、久保選手などは何度もいいプレーを見せて、ますます株を上げることができたんですけどね。どうやら、Kuboがcubo(クーボ/バケツ)を連想させるせいか、Take(タケ)と呼ばれたがっているとマルカ(スポーツ紙)が何度も書いていた彼も立場上はロドリゴと同じですし、大体、ベイルも出すことにした今、マドリーが獲らなきゃいけない選手って、ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)ではなく、クリスチアーノ・ロナウド(ユベントス)退団以来、昨季から続くゴール不足を補うスーパーFWなのでは?

いえ、その辺は私の考えることではないので、好きにしてくれていいんですけどね。翌日、ワシントンに移動したチームは水曜午前1時(日本時間午前8時)のアーセナル戦に向けて練習を開始。今度はジダン監督も考えて、もっと効率的にゴールの入るラインアップにしてくれるといいんですが、さて。土曜のアトレティコ戦ではどちらのチームが上手く補強できたのか、比べてみられるのもちょっと楽しみではありますね。

そして同じ土曜の夜にはもう1つの弟分、ヘタフェもアルガルベ(ポルトガル南部のビーチリゾート)でイベリア・カップの準決勝、ポルティモネンセ戦だったんですが、悲しいことに私には翌日、GOL TV(スペインの民放)の録画中継を待つしか見る手立てがなし。先週金曜にバルサからのレンタル移籍で入団、プレゼンされていたククレジャがチーム練習を1回もせずに出ていたのには驚かされましたが、幸い、その試合は0-0の末、PK戦でGKチチソラが相手のシュートを2度止めてくれたため、ポルティモネンセのゴールを守っていた権田修一選手には気の毒でしたが、日曜の決勝でベティスに勝っていたポルトと対戦できることに。

そちらではカブレラのヘッドで先制したものの、後半にペペとファビオ・シウバにどちらもセットプレーからゴールを奪われ、2-1と惜敗してしまいましたが、まあ相手はCLの常連チームですからね。まだプレシーズン開始から、それ程、日にちも経っていないヘタフェですし、開幕までは時間がありますから、ボチボチ調子を上げていけばいいかと。ちなみに彼らは先週いっぱいでオリバ・ノバ・ビーチ&ゴルフ・ホテルでのキャンプを打ち上げ、今週は地元に留まって練習。水曜にはラージョ・マハダオンダとの試合が練習場であるはずなんですが…何でこのクラブ、オフィシャルウェブの予定表のアップデートが遅いんでしょうかね。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。


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