新型コロナウイルス(COVID-19)による中断期間を経て、再開するJリーグ。Jリーグ全試合を配信する「DAZN」と18のスポーツメディアがタッグを組んだ「DAZN Jリーグ推進委員会」では、「THIS IS MY CLUB -FOR RESTART WITH LOVE- Supported by DAZN Jリーグ推進委員会」の企画をスタートさせた。

超ワールドサッカーでは、大分トリニータのMF小手川宏基選手にインタビューを実施。地元出身であり下部組織で育った最長在籍選手として、クラブや地元、ファン・サポーターへの想い、そしてキャリアに影響を与えたギラヴァンツ北九州での4年間について語ってもらった。

取材・文:菅野剛史
写真提供:大分トリニータ

◆「久々に仲間とボールを蹴れた時は楽しかった」

──今回の新型コロナウイルスによる中断期間を経て、再開に向かっていますが、現在のコンディションはいかがですか?

「徐々に徐々に、上がってきているかなという感じではあります。しっかり仕上がっているかと言われるとまだですが、徐々にという感じです」

──この期間はどういった過ごし方をしていましたか?

「練習自体も人とは一緒にできないので、そういった部分で難しい面はありました。クラブのグラウンドも最初は使えなかったので、自分でしっかり走ったりはある程度していました。ただ、そこまで1人でやるのには限界がありましたね」

──特に自粛期間中のトレーニングで重視したポイントはありますか?

「筋力とかもありますけど、やっぱり走ることを僕は一番メインに考えながらやっていました」

──チームトレーニングに戻った時の感覚などは、イメージと違ったりしましたか?

「ある程度走っていたとはいえ、サッカーとなると動きや使う部分が違ったり、ただ走るのではなくストップやターンがあるので、思っていたよりはコンディションは維持できていないんだなというのを感じました」

──サッカーへの想いや気持ちの変化はありましたか?

「改めてチーム内でパスをしたりすると、やっぱり楽しいです。1人で練習するのとは楽しさも違いますし、久々に仲間とボールを蹴れた時は楽しかったです」

──大分県は九州地方でも感染者が割と多かったと思います。ケアや対策などで難しい面も多かったと思いますが

「大分は電車というより車で移動することがメインなので、移動手段が変わったりということはないです。ただ、子供が居たりするので、そういった面では気をつけなくてはいけないことが増えます。今年から幼稚園だったんですが、中止になり、送迎バスに乗るんですけど、乗せるかどうかの選択とか、身近に色々と考える部分は多かったです」

◆「理想のサッカー人生を歩んでいる」

──大分トリニータのユースからトップチームに上がり、2種登録時代にデビューもされています。当時の心境はいかがでしたか?

「正直、嬉しかったのは嬉しかったですが、僕はキャンプからトップチームに参加していて、そのキャンプの時にある程度結果が出せた感じでした。開幕に向けてチームに登録されたんですが、結構期間が詰まっていたので、とんとん拍子でいってしまったので、あまり実感がないというか。嬉しかったんですけど、あまり考える暇もないという感じでした」

「デビューの時も、僕は元々ベンチに入る予定ではなかったんですが、選手がケガをしてしまって当日にアウェイに行くということになりました。それもまた急で、考える時間はなかったですね」

──地元の大分のチームでプロ選手としてプレーしているという点は、どう感じていますか

「僕は本当に地元なんです。練習場も実家から近くて。本当に、ずっと小さい頃から見ていたチームに入ることができたので、理想といえば理想のサッカー人生を歩んでいるかなと思います」

──子供の頃から思い描いていた道を歩まれているんですね

「県外のチームより、地元のチームを見ることの方が、子供の頃は多いですし、そういった面では、思い描いていた通りですね」

──2008年にはナビスコカップ(現ルヴァンカップ)では優勝を経験されています。チームがタイトルを取るということの意味はどう感じられましたか?

「チームが決勝の舞台であったり、そういったところへ行くのに県が盛り上がるというか、大分県自体がトリニータとともに良い時は盛り上がっている印象はあります」

──非常に多くのサポーターが当時は国立競技場に集まっていました。支えられている、応援されていることを大きく感じたかと思いますが

「こんなに応援してくださる方がいるんだなというのを、改めて知る機会になりました」

◆「改めてJ1は良いところだなと思う」

──その後、ギラヴァンツ北九州へと移籍されました。キャリアとしては大きな移籍だったと思いますが

「僕はトライアウトを受けて北九州に拾ってもらった身でした。個人として言えば、もっとサッカー選手としてやっていけるぞというのを、見返すじゃないですけど、そういった気持ちもありながら、北九州で拾ってもらって、10番もつけさせてもらいました。なかなか付けられる番号でもないですし、見合ったプレーをしなければいけないなという思いがありました」

──当時の柱谷幸一監督からは非常に大きな期待を寄せられていました。結果も残していましたが、プレー面で変わった部分も大きいかと思います

「僕は北九州でずっと[4-4-2]でやっていて、基本は右サイドハーフでプレーしていました。4年間はずっとそこをやっていて、サイドバックとボランチをたまにやるかなという感じでした。今は大分に戻ってきて3バックでフォーメーションも変わりました」

「北九州の時は、[4-4-2]しかやっていないのでなんとも言えないですが、攻撃の部分では北九州の時は結果を残さなければと思ってやっていました。得点だったりアシストだったりということを求められるポジションだと思っていたので、いかに結果を残せるかを考えていました」

──その後、2017年に再び大分トリニータへ復帰を果たします。当時の心境はいかがでしたか?

「その時、ギラヴァンツ北九州をJ3に落としてしまったシーズンだったので、非常に複雑な思いはありました。サッカー選手として、必要としてもらうなら、やっぱり挑戦した方がいいのかなという考えですね」

「古巣だからというのは多少なりともあったと思いますが、逆に他のチームであったらさらに悩んでいたかなと思います。色々複雑な思いがありました」

──片野坂知宏監督の下でやってきていること、この間のチームの変化などはどう感じていますか

「僕が大分に帰ってきた時はJ2に上がったシーズンで、僕も初めて片野坂監督と一緒にやって、初めて監督の戦術をやりました。試合を重ねるごとに、みんながやることをしっかり分かり出した時は、試合をやっていると充実していました」

「求められているサッカーをやれているなという状況まで時間はかかりましたが、それができたことは楽しかったです。やっていて、周りの選手とかもやりたいことを共通理解としてプレーに出た時は楽しかったです」

──2018シーズンは特に相手のチームを誘い込んで、やりたいサッカーを体現していたと思いますが

「監督によっては相手に合わせるという考え方もあると思いますが、片さん(片野坂監督)は自分たちのやり方を貫くというか、自分たちがやりたいことを試合でできた時が、一番楽しい時でしたね」

──去年は久々にJ1の舞台に立たれましたが、改めてJ1でプレーをするということはどう感じましたか

「僕がプロに入った時は、大分はJ1にいたチームだったので、その時の盛り上がりを見ていますし、J1に戻ってからより観客も増えました。試合のレベルも上がりますし、改めてJ1は良いところだなと思います」

◆「サポーターの存在は本当にありがたい」

──ファン・サポーターの方も盛り上がり続けている中で、今シーズンは中々スタジアムに集まることができないこととなります。ファン・サポーターの存在とは

「まだ試合を無観客でしたわけではないのでなんとも言えませんが、練習場にもサポーターの方たちは来れていない状況です。サポーターの方も見たいという思いもあると思いますが、その中で自分たちが不甲斐ない試合をしたら、楽しみにしていた人たちに申し訳ない気持ちになります」

「ガッカリさせないじゃないですけど、楽しんでもらえるようなサッカーを、再開した時に見せることがサポーターの人にとっては良いことかなと思います」

──「トリボード」という取り組みも今シーズンはされています。ファン・サポーターの反響も大きかったようですが

「サイズが割と大きいので、どういう感じに並ぶのかもわからないですけど、人が誰もいないということよりは、違う雰囲気になるかと思いますね」

──よりサポートされている、応援されている良いキッカケになったかと思いますが

「そうですね。大分は割とサポーターの方々は近い存在であって、声を掛けられることもよくあります。たまに声を掛けられるだけで見られていると思いますし、頑張らなきゃなという気持ちにもなるので、サポーターの存在は本当にありがたいと思っています」

──再開が迫っていますがファン・サポーターに見てもらいたい部分はどこでしょうか

「新しい選手も結構増えたので、一番は大分らしいサッカーを見せられることが一番かなと思います。しっかり試合に勝つということも大事になってくると思います」

──個人的な目標はありますか?

「あまり目標を立てるタイプではないですが(笑)。より試合に出た時にしっかり結果を出せるように、トレーニングからしっかりやっていきたいと思っています。連戦も多い中で、しっかりチームのためになるようなプレーができるように、準備しておきたいなと思います」