「やっぱり水曜なんて急すぎだったのよ」そんな風に私が溜息をついていたのは火曜日、競技委員会が2部最終節で1試合だけ順延されていたデポルティーボvsフエンラブラダ戦を5日の午後8時に実施という決定を前日に出したものの、金曜に変更されるという報を聞いた時のことでした。いやあ、競技委員会と示し合わせたのか、月曜にはラ・リーガがデポルティーボの選手、スタッフのPCR検査を予定。ところが、バケーション中だった選手たちは誰1人、検査会場のアベゴンド(デポルの練習施設)に姿を現さず、もう試合48時間前には新型コロナウィルス陰性を確認するという手順から、すっかり崩れてしまっていたんですけどね。

火曜になってようやく、アトレティコBからレンタルで行っているモジェホなど、チラホラやって来たそうですが、いや、大体がして、自身の試合結果に関わらず、2部B降格が決まったデポルとあって、どこよりアクティブにラ・リーガ、サッカー協会、CSD(スポーツ上級委員会)などに経営陣が抗議していただけでなく、先週金曜にはラ・コルーニャ(スペイン北西部のビーチリゾート都市)市内をフェルナンド・バスケス監督を先頭にファンたちが車を連ねてのデモを開催。そんなにしてまで降格回避に必死だったというのに何故か選手たちだけ、最終節の翌日にはバケーション入りしていたことも驚きでしたが、もしやクラブも42節の11試合を全てやり直すべきという主張は通りっこないってわかっていた?

もうこうなると、放棄試合にしてもいいんじゃないかと傍からは思えるんですが、それをデポル側がすると、競技委員会から降格の罰を受け、2部Bどころか、来季は3部になってしまうという恐れがあるため、クラブも慌てて選手たちを呼び戻すことに。せめて規定のトップチーム所属の最低7人だけでも揃えて試合をするつもりになったようですが、現在、日本に帰国中の柴崎岳選手が間に合うのかは疑問。今は別にスペイン入国後、2週間の自宅隔離措置もないんですが、48時間前にPCR検査を受けないといけないとなると、かなり難しいかと。

ただ、選手たちの状態が懸念されるのは、デポル戦をプレーすれば、1部昇格プレーオフ参加への道が開かれると喜んでいるフエンラの方も同様で、何せ、彼らは最終節直前からコロナ陽性者が見つかり始め、7月20日月曜の試合が順延になった後もずっとラ・コルーニャの滞在先ホテルでチーム全員が隔離。その間、ドンドン感染者数が増え続け、最盛期では28人だか何だかを記録していたのも凄いんですが、ようやく遠征部隊43人中、33人が解放されたのは先週の金曜ですからね。

実際、未だに6人が隔離中なんですが、その第1陣でマドリッドに帰京したサンドバル監督は張り切って、翌日から、こちらも最悪、規定ギリギリのトップチーム選手だけとなっても試合ができるようにと、8人程の少人数で練習を再開。でもねえ、ホテルの個室に12日間軟禁されていたのと2週間、ビーチでバケーションしていたのと、果たして体調がいいのはどっち?

こんな2チームが試合をすることになったのですから、この2週間余り、プレーオフを目標に暑い中、練習を続けていたエルチェが怒るのも当然で、何せ、彼らはフエンラがデポル戦で勝ち点1を獲れば、6位を奪われてしまいますからね。おまけに待機の時間が長引いたせいか、先週水曜にはプレーオフ初戦の相手が決まるのを待っているうちに、コロンビア人エースのルイス・スアレスのレンタル契約の延長終了をワトフォードに通告されてしまった3位のサラゴサ、まずはジローナと対戦するアルメリアからもコロナ陽性者が1人ずつ、発見されてしまうことに。ええ、アルメリアなんて、ようやく練習を再開したこの火曜にもまた1人、陽性者が出たとなれば、競技委員会がリスケしたプレーオフ準決勝の13日と16日、決勝の20日と23日に全員クリーンでいられるチームの方が少ないかも。

そして2部ではデポルと一緒に最終節で降格したヌマンシアが来季は24チーム制を主張していたんですが、サッカー協会もその案を推したところ、21位でもっと前に2部B行きが決まっていたエクストレマドゥラが「今季の降格は全て取り消されるべき」と声を上げたり、こうなったらもう、言った者勝ちですよね。最下位で2部降格が決まったエスパニョールまで、コロナ被害による降格無効を訴えているんですが、いやあ。そうそう、最終節で兄貴分のレアル・マドリーと引分けて、18位で降格したレガネスはようやくこの火曜、デポルやジローナを指揮した経験のあるマルティ監督が就任し、静かに1部復帰への活動を開始しています。

え、コロナ感染者はこれから、CL、ELの残り試合に挑むチームからも出ているんだろうって?その通りで先週はマドリーのマリアーノが1週間のミニバケーション明けにPCR検査陽性となり、2週間の自宅隔離に入ったんですが、週中にはセビージャのグデリにも感染が判明。この水曜にローマとのEL16強対決一発勝負を控えるロペテギ監督のチームはその後、PCR検査を繰り返し、他に陽性者がいないかどうか確認できるまで、個人練習に努めていたんですが、どうやら残りのメンバーは無事だったようで、水曜には試合の行われるデュイスブルクに移動できることに。

一方、同様に相手が3月にはコロナ大流行中だったイタリアのインテルだったため、EL16強対決1stレグが延期されたヘタフェは1日早い水曜、午後9時(日本時間翌午前4時)から、ゲルゼンキルヘンのアウフシャルケで一発勝負となるんですが、先週は4日間、アリカンテのオリバで合宿をしてきたチームからは今のところ、陽性は出ておらず。レンタル契約終了に伴い、リーガの最終戦を待たずにチームを離れたケネディ(チェルシー)とデイベルソン(パルメイラス)の代わりにアマトとカバコが新たに選手登録されていますが、とにかくヘタフェはparon(パロン/リーガの中断期間)明けに別人のように調子を落とし、最後は8位と、来季のEL出場権も獲得できませんでしたからね。

もちろん、ククレジャも「Si conseguimos el pase se olvidará el final de Liga/シー・コンセギモス・エル・パセ・セ・オルビダラ・エル・フィナル・デ・リーガ(突破できれば、リーガの結末は忘れられる)」と言っていましたし、アンヘル・トーレス会長も「Si ganamos al Inter, temenos muchas opciones de ganar la Europa League/シー・ガナモス・アル・インテル、テネモス・ムーチャス・オプシオネス・デ・ガナール・ラ・エルロッパ・リーグ(インテルに勝てば、ウチにはEL優勝の大きなオプションがある)」と野心的だったんですが、相手は先週末に終了したセリアAの最後、ジェノア、ナポリ、アタランタに3連勝して、ユベントスに次ぐ、堂々2位でリーグを終わっているんですよ。

ヘタフェでなくても、かなりハードルは高いような気がしますが、それを言ったら、この金曜午後9時にエティハッド・スタジアムでCL16強対決2ndレグを戦うマドリーも相当の苦難が待ち受けているのを忘れる訳にはいきません。だってえ、3月にサンティアゴ・ベルナベウで行われた1stレグでは1-2と負けただけでなく、キャプテンのセルヒオ・ラモスがレッドカードで退場。無観客試合で敵サポーターのプレッシャーは考えなくていいものの、2点を取らないと逆転できないのも大変ですし、CL決勝トーナメントでラモスが欠場した場合、彼らは7試合で1勝1分け5敗と、まったくもって分が悪いって、知っていましたか?

うーん、当人はマンチェスターでのコロナ感染拡大傾向を受け、なるたけ参加人数を減らすようにというUEFAの忠告も何のその、チームメートを支えるために遠征に同行。準々決勝を見据えて、バルデベバス(バラハス空港の近く)での練習でも一切、手を抜いていないんですけどね。相手もアグエロの回復が間に合わずとはいえ1stレグでグアルディオラ監督は彼を使っていませんし、だんだん自信をつけてきたものの、代理のCBが22才のミリトンではちょっと心もとない感もなきにしろあらず。

そんなマドリーは土曜にペレス会長の激励訪問を受け、練習では選手たちの半分が来季の第2ユニ、ピンクのユニを着て、紅白戦をしていたんですが、マンチェスター・シティ戦でこちらも公式戦デビューとなるのだとか。木曜には現地に移動するチームでは、PCR陽性もマリアーノ以外に広がることはなく、ケガ人もいないため、ジダン監督もベンゼマ、アザール、アセンシオ、ビニシウス、ロドリゴ、イスコ、ヨビッチと数ある攻撃オプションを心おきなく用いて、逆転勝ち抜けを目指すはずですが、土曜にカンプ・ノウにナポリを迎えるバルサ共々、リスボンでお隣さんと肩を並べることはできるのでしょうか。

え、それで来週木曜のCL準々決勝に向け、カリアリでプレーする長男のジョバンニも「Cada vez que lo llamo me habla de la Champions/カーダ・ベス・ケ・ロ・ジャモ・メ・アブラ・デ・ラ・チャンピオンズ(電話をするたび、ボクにCLの話をする)。1日中、ライプツィヒはいいプレーをする、どういった選手がいるって、そればっかり考えているんだ」と言っていた程、シメオネ監督が集中しているアトレティコはどうしているのかというと。いやあ、こちらは試合が1週間、遅いせいか、まだ結構、楽しそうにマハダオンダ(マドリッド近郊)の練習場で猛暑の中、トレーニングしていますけどね。

ええ、土曜など、本当は親善試合をやりたかったものの、この折ですから、相手が見つからず、紅白戦をしたそうで、だんだんライプツィヒ戦のスタメンも固まりつつあるよう。GKオブラクを始め、DFにアリアス、ヒメネス、サビッチ、ロディ、中盤はコケ、サウール、左右にカラスコ、コレア、前線はジエゴ・コスタとマルコス・ジョレンテらしいんですが、まだ日にちがありますからね。チーム内、唯一のCL優勝経験者、しかもそれはマドリーがこの準々決勝の会場、エスタディオ・ダ・ルスでアトレティコを破って達成した2014年だったというモラタや、先日は彼女のポルトガル人モデル、マギ・コンセイロさんと一緒に質問に答えるビデオを公開していたジョアン・フェリックスらの追撃も期待できるかと。

一方、リーガの最終戦で負傷したトマスはリハビリに精を出しているものの、準決勝までは難しいようで、それだけは不安材料ですが、3月にはあの昨季王者のリバプールを破った彼らですからね。新鋭チームのライプツィヒに遅れを取るなんて、絶対あってはいけないんですが、時として予想のつかないことをしでかすのがアトレティコ。よって、あまり過信はせず、とにかく今はコロナ陽性ゼロ体制を維持して、無事にリスボン入りしてもらいたいものです。
【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。